平成18年4月 新たな町村議会の活性化方策(議会改革(議会のあり方研究)の歴史2)

第2次地方(町村)議会活性化研究会の報告書です。
分権時代に対応した新たな町村議会の活性化方策 ~ あるべき議会像を求めて ~ 最終報告

まえおき
第1次地方(町村)議会活性化研究会が、平成10年4月、当時進行中の地方分権改革のなかで、新たな要請に対応すべき町村議会の活性化の具体策を提言(以下第 1 次報告と略す)してから6年がたち、地方自治を取り巻く環境は大きく様変わりし、とりわけ町村議会にとっては厳しいものとなった。【中略】
最終報告を取りまとめるにあたっては、特に次の諸点に留意した。
【中略】全国町村議会議長会・各都道府県町村議会議長会・各個別の町村議会のこれまでの活性化努力にもかかわらず、住民の議会への風当たりは一向に弱まる気配が見られず、どこでも定数削減圧力はとどまるところを知らないのが現状である。
また、厳しい財政予測や「市」への上昇志向からここへきて一挙に駆込み合併で町村数は激減、残存町村もその多くは合併不能の山村や島嶼などの弱小町村であり、また合併拒否の選択をしたところも交付税の減額傾向のなか議員定数を最低限まで落とさざるをえなくなっている。この逆境を乗り切る方策の大前提は、議会が民主的地方自治の根幹たることの認識を住民のあいだに広め、その縮減が結局は住民に不利益として跳ね返ってくることを身をもって体験してもらうほかない。
【中略】日本では、近代国家の出発点から自治体は国家統治の末端機構として成立、国家の行政の担い手である長が主体で住民は統治の客体でしかなく、住民の代表たる議会もしょせん行政運営の脇役でしかなかった。町村議会活性化のためには、その伝統的体制の180度の転換を図り、議会が主役の地位を確立する必要を改めて強調して議会の必要不可欠性をアピールするとともに、実践をとおしてそれを立証していく地道な活動が求められる。
逆境のなかで、今述べた課題を担う21世紀の町村議員像は、少なくとも次のような期待に応えられる資質を兼ね備えていなければならないであろう。
まず、自治体としての町村の変革が不可欠となるところから、その先端を行く議員は、とりわけ政策形成能力と行政監督能力の向上に務め、理論武装のための自己努力と環境整備をめざす必要があり、常に時代の最先端を行く知識と情報の把握とそのための議会事務局など補佐機能や仕組みの充実を図り、国や都道府県あるいは執行部と対等に渡り合えるだけの実力を養い、議会の常任委員会や会派はその分担の分業機関になるべきである。
次に、明治以来の相次ぐ合併により住民と町村との乖離が進んできたが、その間隙を埋めるとともに住民の英知と協力を引き出し、住民に対して謙虚の態度で先導を果たす努力が求められる。この点では、町村議会は一般的に小規模だけに有利であり、議会活動への住民の積極的参加を促す仕組みもつくりだしやすいといえる。
さらに、いま一つ大事なのは、議会の本来最重要な役割である議案の策定・提出に当たって発想の転換が図られることである。これまでは、明治以来の機関委任事務中心の議案であり、ほとんど全てが中央各省庁からの準則に依っており、結果として町村行政の大半は国の行政執行の下請けの域を免れなかった。だが、これからはこのような全面的に国に依存する受動的な姿勢と決別し、住民の需要に発し、議員自身も積極的に提案していく議会本来の姿に切り替えるとともに、議案自体も住民の理解しやすい内容や体裁をめざして思い切った簡素化が図られるべきである。

(P63より)
議会運営上の活性化方策

1 議会と長の関係
① 議案提出権
提言:議員による条例を初め議案の提出を大いに活発化させる。
② 予算を伴う議案
提言:予算を伴う議案についての議会の発案権は弾力的に考え活発化させる。
③ 付属機関等への参画
提言:長の指揮下にある各種審議会等付属機関への議員の委員としての参加は極力控え、法定参加もその必要性を見直して不要なものは廃止を求める。
④ 執行権への不当な関与
提言:議会本来の機能に専念し、伝統的な執行権への不当な関与の慣行を厳しく慎む。

2 討議の活発化
① 本会議
1) 本会議の種類・回数・会期
提言:定例会の回数制限撤廃を受け、臨時会を廃止して定例会に一本化するか、通年開催として必要に応じて本会議を開催するかなどについて検討する。
2) 議場の型
提言:本会議の討論活発化のために議場の型を対面式に改装するなどの工夫を一層促進する。
3) 質問・質疑
提言:本会議の討論活発化のために一問一答方式の採用・議長の発言許可の弾力的運用・本会議での意見表明規制の撤廃、議員同士の討論1回の制限撤廃、長の議員への質疑・反問や議員対長の討論の禁止解除などをさらに促進する。
4) 政策討議
提言:議案審議・質疑討論全ての面で政策討議を活発化させる。
5) 先例・慣例
提言1:先例・慣例のマニュアル化を進め、その定期的検証と改訂を実施する。
提言2:法令や条例に抵触のおそれがある先例・慣例は、必要性の有無を確認し、不要なものは廃止、必要なものは合法化の工夫をする。
提言3:議会運営に際しては先例・慣例が改革・活性化の妨害にならないよう配慮する。
6) 会議規則
提言:会議規則についてはそれぞれに必要と思われる改廃を加えてその弾力性を強める。

② 委員会
1) 常任委員会
提言1:制限の撤廃を受けて常任委員会の数を増やし、委員の複数就任を進める。
提言2:議長の委員就任をやめる。
提言3:委員会にもその要請に応じて執行機関の長の出席や資料提供を義務付ける法的措置を講ずるよう要求する。
提言4:委員長への表決権付与について検討する。
提言5:所属外委員会での議員の平等参加への改善策を講ずる。
(委員外議員の傍聴許可で、進んだところでは表決には加われないが、自由な発言も許している。また、これと似た形が連合
審査の活用で、やはり主たる委員会の委員以外は表決権がない。そこで、会議規則にはないが、合同調査の方法で平等に表決権を与えているところもある。ともあれ、事務事業の相互関連の深まるなかで縦割りの弊害を解消して総合性を発揮する必要性はますます高まろう。)
提言6:委員会の所管事務調査の改善を図る。
提言7:各委員会は原則公開としてその条件整備を進める。
2)特別委員会
提言:常任委員会の制限撤廃に応じて特別委員会のあり方を再検討する。
3)議会運営委員会
提言:議長の委員就任をやめる。
4)読会制
提言:議員数の激減に対応して委員会中心の運営から読会制(読会制という本会議中心の制度、あるいは「第〇読会」という名の会議や審議時間として使われるようになっている)への切替えを検討する。

③ 全員協議会
提言1:一層の公開透明性を進めるなかでその活用を図る。
提言2:必要に応じて公務災害補償の適用など準公的機関としての扱いを考慮する。

3 住民参加
① 直接請求による議案提出
提言:住民からの直接請求による議案提出の活発化を促進するため、有権者の年齢や必要署名数の引下げなどを検討する。

② 公聴会・参考人制度
提言:公聴会を全議案について本会議で開催することを検討し、当面参考人制度の活用を促進する。

③ 討議参加・発言時間設定
提言1:住民が議会の本会議や委員会に出席し、議員と協力して議案を審議したり、自由に質問・発言したりできる体制を整備する。
提言2:住民に議会各委員会委員への就任を認めたり、委員会に出席して討議に参加できる制度改正を検討すべきである。

④ 傍聴
提言:伝統的な傍聴人取締の発想を改める法改正に合わせて、条例を改正し、その奨励の姿勢を明確にする。

⑤ 付属機関設置制限撤廃
提言1:地方議会の付属機関設置制限は撤廃を要求する。
提言2:地方自治法第204条の2に規定の法律もしくはそれに基づく条例設置以外は委員の給与等を支給できないとする制限は撤廃すべきである。

⑥ 住民参加の促進
1) 会議録の迅速な公開
提言1:議会会議録の迅速な公開に努める。
提言2:会議録のペーパーレス化も検討する。
(例えば、DVD、CDに署名だけ貼り付けておいたらどうかという意見もあり、これも発言の取消の扱いなどに難点があるものの、法律改正ではなくても会議規則の段階で検討してみてもよいであろう。)
2) 議会広報・CATV
提言1:議会広報の一層の充実を図る。
提言2:議会広報に新しいメディアの活用を図る。
3) 請願・陳情の処理
提言1:請願・陳情の審査は本会議即決を避けて原則委員会付託とする。
提言2:請願の提出を制限する一部の会議規則の規定には違憲の疑いもあるので是正する。
提言3:採択された請願・陳情は計画的な行政施策の情報源として活用する。
提言4:採択された請願・陳情については提出者への通告、関係機関への意見書提出等適切に処理する。
4) 住民懇談会
提言:議会と住民との接触を深めるための住民懇談会を積極的に展開する。
5) 休日・夜間の開催
提言:住民の議会への関心を高めてもらう手段として休日・夜間の開催に取り組む

4 議会事務局
提言1:議会の権能の大幅な拡充に対応できるよう、発想の転換により調査・立法機能の充実を核にした議会事務局の思い切った拡大・増員を図る。
提言2:事務局職員に対する議長の人事権を実質的に確立し、その処遇面に十分考慮を払いながら有能な人材を確保するよう務める。
提言3:仮に議会事務局の陣容拡充が見込めない場合、次善の策として以下のような強化策を検討・実施する。
① 独自の情報や資料の収集能力を高めるため、地域の大学・研究機関や弁護士会などの協力を求める。
② 議員各自の調査・政策立案能力を涵養するのに役立つよう、議会関連の資料に特化した図書室の充実を図る。
③ ICTの積極的活用を図り、人的不足の補完をする。
④ 研修に一層力を入れて職員の能力向上に役立てる。
検討課題
1) 職員のOBを活用する方法
2) 議会事務局の一部事務組合による専門職的な部分運営の提案
3) 町村議会だけ任意設置の事務局を必置制にとの提案

おわりに
まえおきでも指摘したとおり、町村数はここへきて激減し、この減少傾向は今後も続くことが予想され、そのなかで、これまで培ってきた強固な一体性を保持し信念を持って自立の道を選択した町村と、合併を望んでも事実上不可能で自立をよぎなくされた弱小町村とに二極分解することは必定である。前者は後者よりも自立の条件で若干は有利だとしても、前途が厳しいことには変わりはない。したがって、いずれの場合にも町村議会は、長や職員、さらには住民と一致協力して、規模が小さいだけに凝集力の強い町村の個性を生かした自立のためのまちむらづくりをこれまで以上に強力に推進することが求められよう。そのためには、町村議会は、これまでともすれば見受けられた受動的な姿勢を改めて町村政の中核たることを自覚し、その先頭に立つ気概を持って事に当たらなければならない。本報告が、そのような町村議会の活性化とそれを構成する町村議員の真摯な努力とに対して寄与できることを期待したい。

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