2022.05.18 研修 自治体決算の基本と実践 ( ..)φメモメモ

金崎健太郎 先生

企業は決算で、収益を確定させるので、最も重要。
では、自治体にとっては? まったく意味が異なる。
自治体はお金を稼ぐためではない。
仕事(事業)をすることが目的。なので予算の方が重要。
会計の在り方に表れている。(議会の認定、単式簿記、現金主義など)

では決算とは。
1.予算の通り、仕事がなされて、効果があったのか、を議会は審査する。
事業(施策)別の説明書類が必要 ⇒ 自治体ごとに形式が違う。

2.決算から町の財政状況がわかる。
他の自治体との比較もできる。

もともと予算(何をやるか)が重要なので、単年度主義。
なので、視点が短期になるが、決算のデータを毎年積み重ねることで、財政の状況をつかむことができ、長期的な視点で、自治体を見ることができる(決算時)

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決算カード
見慣れない普通会計(一般会計ではない)というもの
普通会計とは、一般会計+特別会計(の一部。法律で置かなければならないとされている特別会計。国保特別会計、後期高齢者医療、介護保険特別会計など)
他の自治体と比較できるように。
夕張の破綻は、一般会計には問題はなかったが、第三セクターでの大きな赤字(特別会計)が市にふりかかり破綻した。
(当時の決まりでは、問題なかった。しかし破綻ということになり、このままのルールではダメだとなり、新しい会計カードのルールができた。平成19年)

【用語】言葉が難しいが、なにを表しているか知る。
・実質収支(単年度で赤字か黒字化を判断する)
歳入決算額 - 歳出決算額 - 翌年度への繰り越し財源(継続費逓次繰越額+繰越明許費繰越額+事故繰越し繰越額)

令和2年度一団体のみ
黒字だから喜ぶというものではない。
多くの余りそう(黒字が出そう)とわかれば、補正予算をかける。
そうして、積み立てるか、借金の返済にあてるかを考えて、補正予算として議会にかけるのが王道。
この数値が大きい=「単年度の黒字が多い」
=予算が執行されていない(仕事ができなかった?)自治体の最大の目標は利益を上げることでなく、効果的に事業をすること
=予算時に厳密に審査してない?
=議会の審査を経ていない(使い道を決めていない)おカネが多い
=多いからと言って喜ぶべきではない

・標準財政規模(その自治体の標準的な(平均的に得ている)一般財源の総額。財政の数値の分母になっていることが多い)

・実質収支比率
実質収支額 / 標準財政規模 × 100
歳入と歳出のバランスの程度をみる。
他の自治体と比較できる。
3~5%程度が望ましいとされる。市町村の平均は4%ほど。 
数値が高いと黒字が多い(=使い道を議論していないお金が多い)

・単年度収支 = 実質収支 - 前年度の実質収支
実質収支を前年度と比較している。
増えた⇒その年度で現金が余った。  減った⇒その年度で現金が不足した

こういうケースもあることを理解する
1. 歳入が増となり現金が余るが、実質は余るわけではない。財政調整基金の取り崩し
2. 歳出が増となり現金が不足するが、実質不足ではない。財政調整基金への積み立て。地方債の繰り上げ償還
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単年度の現金の実質的な過不足の要因の把握が必要。
そこで、
・実質単年度収支 = 単年度収支 + 財政調整基金積立額 + 地方債繰上げ償還額 - 財政調整基金の取り崩し額

実質単年度収支
1回、2回の赤字は事情があると思われる(必ず把握する)が、継続で赤字が出ると、次第に財政が危機水域へ向かっている

・財政力指数
財政面での豊かさの程度。
高いほど豊かというより、自治体が自分で稼ぐ能力がどれくらいあるかの数値。
1を超えると交付金が不交付の団体。
実際は、留保財源があるので、数値が高いほど、自由に使える財源があるということでもある。

基準財政収入額 ÷ 基準財政需要額
(過去3年間の平均値)

基準財政需要額:同規模の自治体を運営するために必要な額(国がルールによって設定)
基準財政収入額:実際に入ってきている税収。自治体によって異なる
普通交付税額 = 基準財政需要額 - 基準財政収入額 (マイナスになることあり = 不交付団体)

 留保財源:資料参照。税収が増えれば、延滞などの本来払われるべき税金への取り立てが行われなくなるとして、税収入に75%(参入率)をかけ、残りの25%を留保財源とすることで、その分を自由に使える財源に充てている。

・経常収支比率
自治体のオサイフ状況。自由に使えるお金がどれほどあるか
収入のうちどの程度が固定費(経常的経費)に使われているか。政策的な経費などにお金を回す余裕がどの程度あるかの数値

経常的経費の3大
1. 職員人件費(公務員の数。派遣、アルバイトなどは含まず)
2. 扶助費(生活保護費。保育料の無償化。必ずどこの自治体でもやる必要あり)
3. 公債費(返すべき借金。借りた瞬間に返す計画が盛り込まれている)

道路の補助金(道路のみ)、借金は自由に使えない。
全国平均は、93.8%。20-30年前は7割を超えないようにと言われていた。
増加している原因は、福祉(医療、介護)の増大。借金返しが増加している。
100%を超えている自治体は、貯金(基金)を切り崩している。


・健全化判断比率
4つの指標(1.実質赤字比率 2.連結実質赤字比率 3.実質交際費率 4.将来負担比率)
夕張市の破綻を受けて従来の財政再建法ではダメだと新たに制定された

資料参照
健全化判断比率(4つの数値)

これらの指標が引っかかる自治体は無し(夕張市が1と2が赤字になっているのみか?)
では、これらの指標をどう判断する??

1.実質赤字比率
一般会計など(普通会計)の赤字の大きさを財政規模と比較した数値。財政規模に応じて11.25~15%
(あんまり赤字を続けたらアカン)

2.連結実施赤字比率
公営企業を含む全会計の赤字の大きさを、財政規模と比較した数値。
(あんまり赤字を続けたらアカン。こっちの赤字も、あんたの責任になるかも)

3.実質公債費比率
実質的な借金の返済額の大きさを、自治体の財政規模と比較
(借金返すのにそんなに使ったらやばいで)

4.将来負担比率
将来払っていく可能性のある負担額の大きさを、自治体の財政規模と比較)
(借金返すのにそんなに使ったらやばいで。こっちの借金も返さなアカンかもよ)

ポイント
数値の入っていない項目がある。-(バー)となっている。
マイナスをする数値があるので、値がなくなる。それはなぜなのかを把握しておく。

どういうルールで一般会計から特別会計への繰り入れが行われているのか把握しておく。
(ルールがあるはず)

実質公債費率の数値が上がっているのには、何か理由があるため必ず把握しておく。
実質公債費率がジワジワと上がっているのには、理由あり。

経常収支比率
借金は借りた瞬間に返す計画が立てられているため、ジワジワと上がるとサイフが硬直化する。

自治体において人を増やしたい時の提案として、財政面からいえることは?
>増やし方の問題がある。公務員を増やすと人件費が上がり経常収支がアップ=財政の硬直化
では、臨時的な経費で人を増やす議論をするのがよいのではないか。
必要な時に職員を雇えるようにする

庁舎を建てるなどは、チェックがしやすい。
どういう借金をするのかがわかる=どれだけ収入があるのかわかる

基金は計画的に使うための貯金。あると思っていたらなくなっていたではダメ。計画通り使われているか確認。長期の話になる。

臨時財政対策債の考え方
借金か否か?
H12年にできた制度

国の税収の33.3%を自動的に地方交付税としていた

国の税収減。国が借金して地方交付税としていた。

国の税収が一向に増えない。地方は国が借金していることを知らないのではダメだとうという議論

これからは地方でも借りてくれ、と地方で借金として計上される仕組みを取り入れた。(臨時財政対策債を導入)

国の税収が増えれば、終わりというものではあるが、税収増えずでいまだに継続中

臨時財政対策債の分は、基準財政需要額に組み入れるので、交付税の計算をするときに金額が大きくなって交付税額が増えるで、という考え方。現金を地方に戻してくれるわけではない。過疎債などと同じ考え方。

先生はどう考える?
臨時財政対策債を投資と考えるなら、どんどん増やしていくことは有利に思うが、投資ではない。
やはり借金という形をとっているため、将来比率が上がるので慎重におこなうべきではと考えるが、議論はいろいろある。

MMTとの関連ありと推測するが、どうだろうか?

研修募集チラシ
研修時間割
研修の様子(JiMMのサイトより)

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