2023.01.24 研修 ひきこもり本人や家族が必要とする支援と地域の役割

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ひきこもり本人や家族が必要とする支援と地域の役割
ジャーナリスト 特定非営利活動法人 KHJ全国ひきこもり家族会連合会広報担当理事
池上正樹 氏

ひきこもり
社会の側からは、姿が見えない。
会える人は少ない。会う場合もカラオケボックスなど人目がないところで会う。
SNSなどでつながることがほとんど。

KHJ全国ひきこもり家族連絡会。唯一の団体

池上正樹さん、8050問題の当事者だった。
母:PTA会長などやっていて、地域の名士。社交的
父:大手会社の管理職
弟:同居。働けず。
自分は家を出ていた。
遺産相続、保険、ひきこもりの弟のケアなど、すべての負担が残された家族兄弟にかかる。
制度はない。心のケアもない、追い詰められてゆく
親は昔の人間なので、働かせようとしていた。
自分も弟を雇ったりした。
亡くなって気づく、生きているだけで良かった。そういう生き方もありかなと思う

事例
ひきこもる人は、真面目で、不器用、優しい。だからこそ、ひきこもる
家族の介護を長年していた。
35年、母親意外と会話していないため、言葉がたどたどしい。
しかし、質問に真面目に答えていた

ひきこもりに対しては、法的な根拠、制度がないため、自治体により温度差あり。

介護現場では、8050問題はよく知っている。
80高齢者の方は知っているが、50の方をどう支援してよいかわからない、のが現状。

制度がなく、情報が遮断されたなかで、先送り、押し付け合い、たらいまわし。

ひきこもりとは、病気ではない。
「発信しない」のが共通点、特徴
「人が怖い」「人に頼れない」

東北大震災で、逃げようとしない。15年ひきこもり。
たまたま助かった。「津波より避難上での人間関係が怖い」

自殺とひきこもりの要因は同じと言われる。

自分のせいで、親の期待に応えられない、自分が情けない、後ろめたい
言葉でうまく表現できない。家の物を壊すこともあり(自分のわずかな生存領域を脅かされた時に多い)

ひきこもりの実態調査。現在新たに調査中、2023年の4月に新たな結果がでるだろう

ひきこもりの背景は一人一人違うが、55%は就労が原因。
ひきこもり者の80%ほどが就労経験者
不登校の延長ではない。

特徴
深刻な人ほど「ひきこもり」とラベリングされるのを嫌う。これまでの自分の人生が否定されたと感じるよう。命の危険あり。足が壊死。

現場では、診断名、障害認定がないと制度に乗せられない。
一番の原因は「社会的要因」
本人の心情としては、自分は病気ではない、障害ではない。
自分の問題ではない。社会の方の問題

孤立の状態が取り残されている。

一人一人違うので、成功事例通り、パターン化したことをやってもダメ。
それをやることで、自分はダメなんだとますます絶望。

一人一人違うので、その人をみるしかない
足しげく通って丁寧に信頼関係を築くしかない。

大人のひきこもり
起因は学校時代の体験に起因するケースが多い。
それが引き金ではないが、大人たちの対応をみている。
大人に裏切られた(当時の担任、親など)そういう体験があることが多い。

不登校は、学校に問題があることの指摘
(気づくことが出来る。安心が脅かされていると感じる感性がある)

登校かどうかで⾒るのでなく、その⼦の個性を伸ばしていく
⇒ この⼦はこの⼦なんだという個性を⾒る選択肢を作ってあげる
興味あるところを伸ばしてくれる⼈がいると⼦供は安⼼できる。
理解ある⼤⼈。⾃分がいてもいい場所緊張しなくてもいい環境
⇒ 勉強はどこでもできる。
教室以外、通信、フリースクール、家庭教師・・・

NHKドラマ「ひきこもり先生」新潟県十日町の先生(ひきこもり経験者を先生にした)

ひきこもりの相談に対して、兄弟姉妹からの相談があるが、親を呼んできてなど言われて、役所の窓口で追い返される、先送りケースも多い

「なんでここまで放置してたのと言われ、行きたくない」
「困ったことがあるのに相談に行ってるのに、また来てね」と言われる

親がしんどいと言うのはタブーなの?
親でも親の役割をおろして、しんどいと言える場が欲しい

支援について
膨大な作業と時間に付き合ってくれる第三者がカギ!

函館市、すべての支援の窓口としたら、ひきこもり相談急増
(どういうPRをしたのだろう)

家族会の存在は大事。(楽になり、家族への対応に変化)

家庭内でコミュニケーションを円滑にするアドバイス
「ひきこもり」は家庭の中で何もしない「怠け者」ではない
ひきこもる本⼈は⼤なり⼩なり家事の⼀端を担っている
(ありがとう。助かった という声掛け)
それぞれ、その⼈なりのペースがあり、⼤切にしている⽣き⽅がある

どんなにひきこもっていても本⼈たちは成⻑している
本⼈のペースに合わせる挨拶をかけ続ける
親の意図を含まない⾔葉がけ
親が良かれと⾏った先回りは、本⼈を傷つけ、⽣きる⼒を奪う
・本⼈の潜在⼒を信じる
・できないことを責めるのではなく、できたことをホメる
「そだねー」「すごいね」→ 魔法の⾔葉
「ありがとう」「助かった」→ 役割の実感
「よく頑張ってきたよね」→欲 求・感情・感覚を取り戻す

挨拶と感謝
本⼈が⼤事にしているものを知る努⼒
覚悟

当事者が⾃発的に動かないときに家族ができること
『たびだち』2022年夏季/102号(KHJ埼⽟けやきの会代表・⽥⼝ゆりえ)より
折に触れ、自己選択や自己決定、自己行動する機会をつくる
「ハンバーガーかピザを買ってこようと思うけど、どっちがいい?」
「昼ごはんの麺は、冷たいのにする?温かいのにする?」
メモしてペンを添えておく
「要らない」の返事なら自己主張の始まり

小さな刺激からの小さな反応の連鎖の積み重ねが変化を起こす
好きなことや本⼈が得意なことから勇気を出してお願いする
「頼みたいことがあります」などと家事などのスモールゴールを増やしていく

非言語の反応(表情や仕草、行動)の中に本人の意思が詰まっている
本⼈の描く世界をイメージ⾔葉にならない⼼の深い声を聴く絞り出た⼀⾔は受け⽌める

親への批判や怒りは感情の復活 回復へのターニングポイント
「そうだね」「そうだったんだね」「気が付かなくて悪かったね」
共感的に理解を⽰していくと、⾃分も本⼈も落ち着いてくる
親の寄り添いで思いやりを実感できると、いつしか本⾳や弱⾳を吐露してくれる


親亡き後のために家族ができること
元気なうちに⾃分が信頼できる第三者(理解者)とつながる
本⼈が将来、ひきこもりながらでも⽣きていけるように準備
→ 居住している市区町村のひきこもり担当部署に相談しておく

本⼈や兄弟姉妹に負担がかからないよう事前に情報を共有
・葬儀、持ち家、財産、保険、本⼈のライフプラン等…
・いざというときに本⼈が電話(連絡)できるような連絡先と名前

公的機関や家族会、講演会、学習会で社会資源等の情報を収集する
→ 居場所、地域活動、相談相⼿、職場、在宅ワーク、福祉、医療等

家族は社会資源の選択肢を本⼈に届けることができる役割を担う
→ ⽣きる欲求を取り戻していれば⾃ら必要な資源につながることも
本⼈も(兄弟姉妹も)交えて(本⼈の前で)家族会議をもつ
期待に応えようと無理しすぎて揺り戻しがあることも想定しておく

就労がゴールではない。
その人それぞれの多様な生き方ができる。人間関係。
戻れる場所がある

再度のひきこもりは、34.4パーセント

メタバースも使いやすい。オービスという空間
ゲーム感覚。自分であり自分でないので話しやすい

—–

周囲はどう関われば良いのか?
民生委員等の声がけ心情への理解少しでも関係性を
怖がって声かけたがらない返事もないでも諦めない
→ 挨拶を続ける届いている気にかけてくれている

放っておかれてないという安⼼感や肯定感を抱く
地域の⼀員として認められている

仕事や将来の話はNG
→ 1⼈の⼈と⼈との話相⼿になってほしい(特別扱いされていない)
「街の中で困っていることがあるから助けて」とか
町内会、商店街から仕事回して超短時間、在宅ワークでもできること
「趣味」や「好きなもの」で盛り上がる ⼀緒に出かける
→ 「居場所」(⽀援)を押し付けるのではなく本⼈の望む⾏き場所へ
税⾦、家賃等の滞納情報から⽣活⽀援につながることも

引き出すことを目的にしたアウトリーチはNO!

冊子「たびだち」

KHJジャーナル「たびだち」(情報誌)

——
質問1
学校というのが出て来るが、どうあるべきか

講師:
私は場面緘黙症(ばめんかんもくしょう)だった。全然しゃべらない子どもだった
情報は隠す方向があるが出すべき。未来の教訓として開示して欲しい

質問と回答
冊子「たびだち」はサイトから年間購読(3000円)でできる

地方の問題
相談に行くところがない。
役所は知り合いばかりで、相談しにくい
隣の自治体でも相談を受けられるように連携して欲しい。
家族会もないので孤立を深めるという問題がある

京都府、神戸市がメタバースをやりだしている。

相談したくないという家族にどうやってメッセージを届ける?

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