2023.07.30 地方議会議員の行政監視活動のあり方について

2023.07.30(日曜日)

奈良県弁護士会シンポジウム
「地方議会議員の行政監視活動のあり方について」
生活保護申請への議員の付添活動を題材として

長いタイトルのついたシンポジウムを聴きに、県内の某市へ行ってきました。

午前中の毎週の課外活動を終えて、昼食を食べて、午後から、某市へ行ってきました。

内容は
1. 生活保護利用希望者に対する水際作戦の実態と地方議員の役割(講師:家永 純 花園大学社会福祉学部教授)
2. 地方議会による処分等に対する司法審査の可否・範囲(講師:市川正人 立命館大学法科大学院教授)
というものです。

一度で二度おいしい(濃厚な)シンポジウムです。

実は、某市の議会が気になっていました。
ある政党の議員(その地方議会の中では少数派)を、排除するように感じる懲罰が、その議会でなされたというニュースを知っていたからです。一連の流れ(違法っぽいよという判断があったが、いったんひるんだ多数派だったが、結局、懲罰的な議決を多数決で行ったという)
「うわ~、子どもたちにイジメはダメだとか言えないで~」とか感じていました。
やる側の論理もあり、やられる方がどんな人かも知らないのでなんとも言えないのですが、それでも「イヤ~な、あの感じ」を私は感じます。うまく表現できない。

私も政党に属していませんが、自身の議会内では少数派という自覚があります。
「いつ多数派の議員さんたちに、どんなことをされるかわからない」という恐れを持っています。
まぁ、ないと思いますが、つい先日「そんなこと、これっぽちも思ってないぞ」ということで怒鳴られたりしているので、やはり「備えあれば憂いなし」だと感じます。

また、他の市町の議員さんとほぼ毎週、オンラインの情報交換をしており、その中で、「辞職勧告を受けた」「懲罰会議にかけられた」などの話も、チラホラ聞きます。
「お前の活動が目障りだ」という仕打ちを多数決で受けている地方議員さんたちが少なからずいることも知っております。
他の市町の地方議員で情報交換を毎週のようにしようという議員さんたちは、みんながみんな「いかに少ない力で議員報酬を得るか」とか「議員という労働の効率性」「議員という労働単価を上げる」を考えている人たちではないことは確かです。逆に言えば、ガンバル人ばかりです。
目立つと叩く(出る杭は打たれる)みたいな感じなのでしょか。
わかりませんが、「イヤ~な感じ」です。

 


 
前置きが長くなりました。
研修の内容は、
生活保護は権利である。
しかし、日本の捕捉率(収入が少なく生活保護の適用範囲で、申請して受けている人)が、諸外国に比べて、とても少ない。
原因は、1.利用条件の厳しさ(貯金があったらダメ。車を持っていたらダメ[そんなことはない]。扶養家族に尋ねる)、2.保護基準の減額(額を下げると、今まで対象であった人が対象からはずれる)、3.スティグマ(生活保護だけはイヤという感情)、4.水際作戦(生活保護の申請として受け付けない対応。多くはただの相談・問い合わせだったとするよう)

水際作戦のよくある手口
1.扶養義務を理由に申請を受け付けない(「お子さんと相談して下さいなどで受け付けない。違法です。不要は保護の条件ではない)、2.稼働能力を理由に申請を受け付けない(働けそうです。もっと仕事を探してください。違法です。仕事を探しているのに見つからなければ生活保護になる)、3.高額家賃を理由に申請を受け付けない(基準内の家賃の住宅に移ってから申請に来てください。違法です。住宅扶助は限度額。それ以下の家賃の家に住まないといけないわけでない)、4.住まいがないと申請できません(違法です。まずは住まいを確保し、最低生活を保障するのが行政実務)
→ 申請があれば、審査は開始されtないといけない。

支援者、議員の生活保護申請の同行は当たり前。同席を不可能とするのは異常。(議員の職務:福祉の増進(地方自治法 第一条の2)
○○市の事態は、地方議会における議員の発言封殺という民主主義破壊であると同時に生存権の根幹である生活保護への攻撃であること(資料では、強い言葉で、この市議会を非難していました)


地方議会による議員の懲罰と司法審査
(国会)議員と(地方)議員は、すこし違う。
ガーシー議員が、議会の賛否で議員を除名されたが、あの件については、裁判所は介入できない。(ガーシーが訴えても、裁判所は判断は出来ないして裁判にならない。行政と司法は三権分立でお互いに独立。
しかし、地方議会については、議会の独立性を重んじながら、適切に、住民自治の担い手である、それぞれの議員が住民自治を行う環境にあるかをチェックする。

今までは最高裁は、地方議会であろうとも独立していると司法の介入を認めていなかった考え方が「判例」とされていたが、それを令和2年に、判例を変更し、司法の介入もあるとした(判例を変えると言うのはスゴイこと)
裏を返せば、それだけ地方議会で少数議員い対してヒドイことをしていたということ。

地方議会に対する判決
・岩沼市議会事件判決
・石巻議会事件判決
・香芝市議会事件判決
・昭島市議会事件判決
・東村山市議会第1事件判決
・東村山市議会第2事件判決
・音土町議会事件最高裁判決
・月形町議会事件判決
・愛知県議会事件最高裁判決
・名張市議会事件最高裁判決
・白糠町議会事件判決


このシンポジウムが終わって、すぐさま、仕事へとんぼ返り。

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