2024.07.29 オンライン研修(社会分断の新たな構造)

曖昧な弱者とその敵意~社会分断の新たな構造~
成蹊大学文学部現代社会学科 教授 伊藤昌亮 氏

成蹊大学文学部現代社会学科 教授 伊藤 昌亮(いとう まさあき)氏
 1961年生まれ。東京外国語大学外国語学部卒業、東京大学大学院学際情報学府博士課程修了。日本IBM、ソフトバンク株式会社勤務、愛知淑徳大学現代社会学部准教授、フリードリヒ・アレクサンダー大学日本学講座客員研究員などを経て、2015年より現職。専門はデジタルメディア論、とりわけソーシャルメディアと社会運動、集合行動との関わりを研究している。著書に『炎上社会を考える』(中央公論新社)、『ネット右派の歴史社会学』(青弓社)、『デモのメディア論』(筑摩書房)、『フラッシュモブズ』(NTT出版)、近著論文に「“弱者男性論”の形成と変容」(『現代思想2022年12月号』青土社)など。

研修に130名参加

成蹊大学文学部現代社会学科の教授である伊藤昌亮さんの研究内容は、社会学とメディア研究を中心としています。具体的には、以下のようなテーマを扱っています。
メディア論:特にデジタルメディアやソーシャルメディアの影響を研究しています。例えば、ネット右翼やネット炎上など、インターネットを介した社会現象に関する研究が含まれます。
社会運動論:フラッシュモブやデモなどの社会運動のメディア論的な側面を探求しています。これには、インターネットを通じた集団行動の分析も含まれます。
集合行動:特定の集団行動がどのように形成され、展開されるかを研究し、その背景にある社会的および文化的要因を解明しています。


SNSを研究していたが、だんだん大きくなってきた。

曖昧な弱者という概念
社会的弱者に対する見えにくさ。

コロナ禍。
飲食店は大変だ、助けよう

休業補償がされるとなると、あいつらは働いていないのにおカネをもらっている

飲食店より俺の方がツライ。この先どうなるのかわからない
飲食店は(国に)助けられている。
俺を助けろ

誰もが大変。

なぜこの人たちだけを助けるのか?
なぜこっちの人は助けないのか・・・
俺の方がツライ。
女性をたたく、外国人をたたく、年寄りをたたく

社会の分断=弱い物イジメ
単なる憎しみ以上に、犯罪が起こっている。

本来は弱者として位置づけられていないが、弱者としての見ることも出来る層を「あいまいな弱者」という


これと関連して、大事な出来事が起こってきている。
「石丸信二氏現象」
都知事選で大変な得票を得た。
自分の動画の切り抜きをOKとしていた。
切り抜き職人が、たくさん再生を経て、稼げる動画となった。

老害、高齢者叩き、旧態の議員

若者にはやるという現象 = あいまいな弱者問題

従来的なポピュリズムとは違う現象

(石丸さん)対決型の姿勢(議会との対立、マスメディアとの対立)
SNSで広がった可能性がある。特に ティックトック

ティックトックで一万件以上の動画128本 分析した
3つのメッセージ「老害批判、マスメディア批判、若者応援(石丸さんが若者のために老害と戦っている)」
若者応援(石丸さんが若者のために老害・古いシステムと戦っている)

投票前は、老害批判(はじを知れ、居眠り議員批判)と若者応援(切り抜き職人がほとんど作った)
投票後の動画は、ほとんどマスメディア批判。

政治家が若者を応援するとしたら、どうなる?
政策的なこととなる(子育て、教育、
石丸さんは政策的なことは言わない。

応援動画(切り抜き動画)を作成していたアカウントを分析した。
すると、政策的な話ではまったくなく、日々の生活をどう切り抜けていくか(勉強、コツ、話し方、仕事、面接・・・)
= 政治以前の領域。自己啓発。未来の分からない社会でどういきるか。社会が良くならない(成長しない)時代だからこそ、自分が成長しないといけない。
政策を語ることより、老害・古いシステムへの攻撃。
今までの政治戦略とは全く違う。

曖昧な弱者(一人一人が抱える不安)への寄り添い。
明白な弱者の攻撃につながる。では、明白な弱者への政策はどうなる??
—-
同じと知事選挙で、
ひまそら現象(女性攻撃)、桜井誠現象(外国人攻撃)も見られた。
石丸現象は高齢者攻撃。
(明白な)弱者叩き をあいまいな弱者が敵意を持つ。

弱者争い(どうやって弱者になるのか)

弱い人を助ければ助けるほど叩かれる。
弱者であるばあるほど叩かれる。障碍者の移動の問題。

元々の明白な弱者って誰で、どうやって助ける。
おカネの分配と、相手のアイデンティティーを承認する

分配の政治と承認の政治

—-
女性より圧倒的に男性の方が、社会の関係性がない。
社会関係が希薄
社会的排除の反対 ⇔ 社会的包接(ほうせつ)
しかし、従来の社会的排除は、周辺部の排除(

曖昧な弱者

誰も同情してくれない。
京都とアニメ^ション、山上事件(安倍さん暗殺)、電車でガソリンをまいた

承認の政治の中で誰も自分のことをわかってくれない。

京都とアニメ^ション、山上事件も完全な貧困ではない。
完全な貧困ではないが、貧困に準じる(なんとなく貧困と感じる)
差別されているわけではないが、差別されていると感じる
(KKO(きもくて、カネの無い、おっさん))

若者= 寄る辺がない。誰も自分たちを応援してくれない

石丸さんの支持者は、はっきりと男性の方が多い
30-50代の男性


元々は、マジョリティとマイノリティーの対立

中心部における排除
齢者ではなく、結婚できないので子育て世帯でもなく、女性でも外国人でもLGBTQでもなく
スジェネ男性:自らを被害者視・マジョリティとして加害者視される
弱者男性・KKO(キモくて金のないオッサン)⇒関係型弱者:低学歴独身中年男性
従来の社会的排除論:周縁部における排除⇒純貧困と準貧困・純差別と準差別

女性運動が盛んになるにつれて、弱者男性が出て来る
男性だってつらい。
→ コミュニケーション能力をめぐる闘争:「対人関係」⇒「情報通信」
オタク的な美少女アニメを攻撃してくる(ひまそらあかねグループ)

曖昧な弱者が今やろうとしているのは、投資と副業。
誰も救ってくれない。頼るところがない。
投資しておカネを確保。そうすればモテルはず。
そこにしか希望はない。

個人個人が設けやすい世の中 = ネオリベラリズム
今の投資は、ほとんど外国への投資。
投資されるべき産業が国内にないと、国内と滅ぶ。
外への投資でなく、自分への投資が必要

社会保障には期待しない。
(その先には政治は存在しない。個人で稼ぐ)

石丸さんは、社会から分断された層に、メッセージを届けたというだけでも偉いのかもしれない。

労働や雇用の問題(複業をやらなくてもいい社会の方が望ましい)
——
質問

大和高田議員 南さん
誰もが持つ負の心がある。
「働けない者も食うべからず」という人もいる。

>JCの調査(青年会議所の調査)
青年会議所の面々が、排外主義的な傾向が多かった。
二代目三代目で事業をやった。同級生はみんな一流企業へ就職。
自分は地元へ帰って会社を継いだ。
自分たちが必至で稼いだ金から税金が取られ、弱者に使われる。
相対的剥奪感じ、何か報われない感じがある。
彼らは成功者のはず。一件、強者と見える人にも報われない感じがある。
実際の弱者と、成功者を救う方策は、まったく違っているはず。

ひまそら現象
元々、コラボ(若い女性を救う活動。若い女性が性的に消費されることが問題)、そのコラボの代表者が、温泉のアニメを批判した。
それが好きなひまそら氏が、コラボを攻撃し出した。

承認と分配が混同されている。
承認されていないということで、分配(公金)の問題を攻撃し出した。
彼らがそもそもアニメにこだわるのはなぜか?
弱者男性で、自分たちは美少女アニメに走った。

044大城戸聡子 02:35 PM
兵庫県加東市議会の大城戸(おおきど)と申します。我々は地方議員なので国策について物申すのは難しいですが、1点のみ個人的に考えている施策があります。独身男性の救済にはならないのですが、非正規社員の夫婦に対して、子供が一人生まれたら夫婦のどちらかを正社員に、2人目ができたら残りの片方も正職員にするような補助制度を国が作れば、子供をほしい若い世代にも嬉しいせさくになるとずっと考えております。もし時間があれば、これに対しての先生のお考えをお聞かせ下さい。


蓮舫さん(左派側)「若者の手取りをあげる」と言っていたが、あまり若者に響かなかった。再分配をどうするのかという議論。
分配分を大きくする(成長戦略)という話題の方が、若者に響くようだ。

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