東京藝術大学 学長 日比野 克彦(ひびの かつひこ)氏
1958年岐阜県生まれ。東京藝術大学に在学していた80年代前半より作家活動を開始し、社会メディアとアート活動を融合する表現領域の拡大に大きな注目が集まる。その後はシドニー・ビエンナーレ、ヴェネチア・ビエンナーレにも参加するなど、国内外で個展・グループ展、領域を横断する多彩な活動を展開。また地域の場の特性を生かしたワークショップ、アートプロジェクトを継続的に発信。現在、岐阜県美術館、熊本市現代美術館にて館長、母校である東京藝術大学にて1995年から教育研究活動、2022年から学長を務め、芸術未来研究場を立ち上げ、現代に於けるアートの更なる可能性を追求し、企業、自治体との連携なども積極的に行い、「アートは生きる力」を研究、実践し続けている。
アートかける福祉
日比野さん、岐阜県の出身
ダイバシティー オン ジ プロジェクト
Diversity on the art(DOR ドア)
芸大で福祉を学ぼう
なぜ、芸大で福祉でアートなのか?
アールブルットということば、障害者アート、アウトサイダーアート、NHK「ノーアート、ノーライフ」
1900年初頭、フランスで「アートブルッチ」=「生(なま)の芸術」、
正規の美術の教育を受けた人は「生」ではない
習うことで失われてしまう美術がある。
1980年後半に出会った、色鉛筆で書いた絵に衝撃を受ける。
その作者に会いに行くと・・・
色鉛筆を右から順番に使ってゆく。
丸くなると書けなくなると削る。鉛筆を削る時に耳を当てる。臭いを嗅ぐ。
これを繰り返し、ちびっこくなって書けなくなると、次の色鉛筆にうつる。
見ていると彼は、鉛筆を削りたい。何かを書きたいわけではない。
自分の価値観や考えを超えていた!!
福祉業界の人たちに違う視点(アートの視点)で、個性を見る。
100いれば100のアート(その人らしさ)がある、という視点
モノを重要視しているのと同じようにコト(一人一人)も大事にしている。
社会的な課題を解決するためにアートが何かできないだろうか?
世の中を変えてゆくとき、心を動かす必要がある。
心を動かすのが一番得意なのは芸術
人間の行動変容を求める ⇒ next SDGs
心を動かすことで、色んなことが動いてゆく
芸術未来研究場
「場」という字。研究所ではない。
Aさんに効果があった(アート)が、Bさんに効くわけではない。
一人一人違う。ひょっとしたら「今日は好きだけど、今は」違うもあり得る。
(電話あり。対応)
ターン・プロジェクト
南米が多い。自閉症の子たちの学校
アルゼンチンの子。
世界の違いがあると思うと、似ている。起こることが似て来る。
世界観、空気感、そこで起こること、行われていることが似ている。
言葉でなくても行動でコミュニケーションができる感覚がある。
地域性が文化だと思っていたが・・・
地域とコミュニケーションがうまく取れないことで、地球人(原風景的な人間)という感じがある。
⇔ 地域とコミュニケーションをとることで地域性がうまれる。
一カ月間でもスタッフの交換ができるのではないか?
そうすることで、スタッフが自分のやるべきことが実感できるのではないか。
アーティストの国際交流はやっているが、スタッフの国際交流もやりたい。
ありたい社会像と現状とのギャップの整理
共生社会実現の重大な阻害要因である「望まない孤独・孤立」に関する課題
課題:2030年には、65歳以上の高齢者が31.8%と国民の約3人に1人となる。(生産的人口:15歳以上〜65歳未満)高齢者は離職や身体的衰えなどが原因で、望まない孤独・孤立になりやすい。さらにコロナ禍はコミュティを分断し、身体的健康だけでなく、長期的に社会的健康も害する恐れがある
社会的処方:薬ではなく、人とのつながりを処方する
さらに踏み込んで、文化的処方(楽しい、うれしい、面白い、イキイキ、)
社会参加:一人一人に合ったケアと社会参加をデザイン
文化の場合は、数値で評価するのは難しい。参加者(入場者)の数ではなくて、どれだけインパクトを与えたか。
岐阜県:国民文化祭を行った
文化的処方の定義
個々人が抱える諸課題や社会との関係性、地域の文化芸術資源や場所の特性などを踏まえ、アート活動と医療・福祉・テクノロジーを組み合わせ、その人がその人らしくいられるレジリエントな場所やクリエイティブな体験を創り出す。それによって、楽しさと感動を生み出し、心が解放され、人と人との緩やかなつながりや心地良いコミュニケーションを自然と発生させる。個人の対象には、活動する意欲や幸福感の増進および健康状態の回復・予防に係る継続的な効果を、面的(地域等)な対象には、寛容性や包摂性の向上に係る効果を与えようとする手法・方法・システム。
とりあえずやってみる。見える形にしてみる。
文化的リンクワーカーが広げる(岐阜県で広げている)
文化リンクワーカーとは誰か?
ちーオシ 清流の国ぎふ 文化祭
地域が推す文化の発掘 ⇒ 地域活性化に活用
https://gifu-bunkasai2024.pref.gifu.lg.jp/koku-shou-bunsai/chi-oshi/