「地方議会を再生する」より引用

地方議会を再生する

気になる表現を抜き出し。( )内は森内のつぶやき

(地方議会の状況は)行政の監視や政策提言などは行わず、単なる追認機関、ないしは利権の配分機関にすぎないというのが、ごく一般的な地方議会の姿であろう。
そうした現実は、実は、住民自らが作り出したものと言える。『我がまちの議員に誰がなっても同じ』と投票所に足を運ばない住民が増えている」
(三宅の投票率は低くはないはずだぞ! )
【中略】
役に立たない今の地方議会を放置したままでいると、住民は将来、思ってもみなかった不利益をこうむることになる。その時になって歯噛みしても手遅れだ。ではどうしたらよいのか。そのヒントを綴ったのが、本書である
取り上げたのは、どこにでもあるようなダメ議会の話だ。行政の単なる追認機関でしかなく、本来果たすべきチェック機能を全く発揮できずにいた。
【中略】
当然のことながら住民から批判の的となり、議員は厳しく責任を追及された。
【中略】
本書は、住民の批判の対象でしかなかった飯綱町議会がなぜ住民の役に立つ議会に生まれ変わったのか、その謎を解明したものだ。
「我がまちのダメ議会やダメ議員に怒り心頭」という住民の方や「同僚議員の怠けぶりやデタラメさにほどほど参っている」【中略】地方議員の方に是非とも読んでいただきたい」

こんな書き方で始まります。
この本、読むしかないでしょう!!
そして行動だ!!

P45
党組織との想定外の対立
寺島さんらは官製談合を徹底的に追及し、不正をただすことを決意した。
多額の税金を無駄遣いすることに他ならず、地域にとって見過ごすわけにはいかない重要問であるからだ。
【中略】年明け早々に、北部衛生施設組合の組長あてに公開質問状を提出することを決めた。
【中略】共産党地区委員会にその旨を報告したところ、想定外の注文が入った。公開質問状は寺島さんらだけで提出するのではなく、地区内の共産党議員全員の連名で出すべきだと言ってきたのである。
【中略】他の議員の知名度も上げようという考えである。
【中略】寺島さんが組織の突然の要求に納得できず「指導には従えない」と返答したところ「従わなければ除名する」と言い渡されてしまった。【中略】仲間の議員はここで降りてしまい。結局、公開質問状は一人の名で提出されることになった。
【中略】
「私は住民の利益のために頑張るのが共産党の議員だと思っていた。地道な努力をしないで、カッコだけつけて、楽して当選したいというような人は認めたくない。姑息な手段を使ってでも選挙に勝つというのも許せない」

この事件をきっかけに、党との関係がぎくしゃくして30年間所属した共産党を、寺島さんは離党することになる

p53
村長選落選
(村長選の相手は、引退する村長の後継者候補で、一騎打ちとなる)
嫌がらせがすごかったらしい。自宅に無言電話が鳴り続け、一睡もできない。
デマと誹謗中傷が村内を駆け巡る
「寺島が共産党を辞めたというのはウソで、偽装離党だ」
「あいつは人間性に問題があって共産党を除名された」
選挙の結果は、無残なもので完敗であった。
「負けるとみじめなものです。地域社会の端に追いやられてしまった感じで、ダメなヤツだと烙印を押された感じでもありました。ひたすら百姓をしました」と当時の寺島さんは振り返る。

寺島さんは、いったん、村議会議員から退き、町長選で惨敗した。
しかし、その後、再び議員として選挙に臨み、当選し、議会改革の旗頭として活躍することになります。

三宅町にも「本気で町を何とかしたい」と思っているなら、議員としてでも復活を決意する人がいてもおかしくない。
本気であれば応援する。

P93
「今の行政の一番の問題は、一番基本的な仕事であるはずの各種の議論ができない(議論を通じて良い案をまとめようとしない)。
議論に必要な資料を作る能力が極端に不足している。大金を払い外部を使って企画案を作り、それを消化しないままで仕事をしたと思っている。
スケジュール管理ができない。
幹部に部下を教育する態度が見られない(幹部に問題意識が全くない。甘い環境に浸りきっているため批評されている内容すら理解できない様子)
立案能力が不足(にもかかわらず能力向上のための方策が見えない)
これらを体系的かつ、根本的に直すことが出来るのは、町民から選ばれた町長と議員しかいないと考えます」
役割をきちんと果たせない議会が、行政の劣化をもたらしていると、当時の飯綱町の実態をズバッと指摘したのである(町民アンケートの回答)
【中略】
もっとも、これはなにも飯綱町に限った話ではないだろう議会や行政が本来あるべき姿から遠くかけ離れてしまっているのは、全国の自治体の共通する現象と言える

P94
議員による学習会
寺島さんが議会改革に関する学者論文や先進事例(北海道栗山町議会、三重県議会、鳥羽市議会など)のレポートを資料として集め、各議員に事前配布した。
そこで、配布した資料ごとにチューター役の議員を決め、学習会での説明を担当議員に任せることとした。
【中略】
資料説明は一人5分間として、説明を受けたあと、各議員が自由に意見を発表し、議員同士の討論に移るのである
【中略】
しかし、勉強意欲に乏しい議員や、議会の役割を曲解している議員、さらには自分の本業に力を入れている片手間議員にとって、学習会や自由討議は苦痛や負担以外の何物でもなかったと推測する。
議員としての見識や能力を容赦なく問われ、徹底的に吟味されるに等しいからだ。

のちに、この学習会を提案した寺島さんを議長からおろす議員の動きがあったことからも容易に推測される。

議会改革は次なるステップへ進む
目指すべき議会像を6点に集約していった
「住民に開かれた議会」
「町長と切磋琢磨する議会」
「活発な討論が展開される議会」
「住民の声を行政に反映する努力を貫ける議会」
「飯綱町の住民の自治発展の推進力となれる議会」
「政策提言の出来る議会」

そして、議会改革の課題として8項目が掲げられ順次、実践してゆく
1. 一般質問の一問一答方式を導入して、町長に反問権を認める。
2. 町民に対して議会の議決責任と説明責任を果たす。
3. 議会への住民参加を広げる
4. 議会の情報公開をさらに進める
5. 議員の資質向上に努め、議員同士の自由討議を活発に行う。
6. 議員の政策立案の力を高め、政策提言、条例制定などに取り組む。
7. 行政への批判と監視機能を一層強化する。
8. 政務調査(活動)費を条例化し、政策研究、町民への広報活動などに活用する。

「議会だより・議会改革特別号」を2008年8月に全戸配布し、議会改革の実行を宣言した。議会として町民に改革を公約し、自ら退路を断ちきったのである。

ここまでが、飯綱町の議会改革の第一幕といえる。
まだ改革の方向性を示したに過ぎない。

この時点ですでに着目すべき点が二つあった。
1. 他の議会改革の事例と同様にリーダーの存在も大きかったが、リーダーのトップダウンによって改革が進められたものではなかった。
議員間での討議を重ね、丁寧に合意点を積み上げての前進だった。
2. 学識者や議会事務局員などの力に依存せず、議員のみで議論を積み重ねて改革の方向性を定めた。
という点だ。
先例事例の丸写しなどは行わず、自分たちで論点を整理して詰めていった、議会改革の自主独立型である

議会改革の第一幕までを、メモとしておきます。

三宅町議会はまだ、第一幕にはたどり着いていません。
たどり着いていないだけでなく、どこを目指して進んでいるのか、よくわかりません。
議員の私が分からないのですから、住民さんは全くわからないはずです。

町づくりの主役は住民さんです。
という事は、
住民の代表として選ばれた我々議員が率先して、何かをしないといけないと強く思っています。

その後をメモ φ(..)メモメモ
議会改革 第二幕
・議会事務局を強化する
・政策サポータ制度
・議会基本条例
・議員提案による「集落機能強化」条例の制定
・町長提案を議会が否決、修正、不承認
・補正予算は否決された
・町民の政治参加はまだ不十分
・支持者の意見だけが民意ではない
・議会改革が最終的に、生活の向上につながっていると住民が感じること

p113
「議会なんて、もうなくしてしまえ」と叫ぶ人も少なくないが、それは違う。
より正確に表現すると「今のような地方議会ならば、無い方が良いが、機能をきちんと果たす議会は今後絶対必要」なのである

今の三宅町議会は、
無い方が良い議会か??
絶対に必要な議会か???
三宅町議会は変わらないといけないです。

p154
求めたのはルールの明確化
「どこの区、地域からもいろんな要望をあげています。それについて、今まで町からは『予算の範囲で優先順序の高いものから』と言われてきました。
これからは、町長ホットラインで町長にお願いし、現場を確認してもらってOKになったものが優先順位の一番だというふうに解釈してもよろしいでしょうか?
そうでないなら、町が優先順序をどう決めているか教えて下さい?」
優先順位の付け方を整理して、いつになるのかきちんと要望元に返事できるようにするのが、町のやるべきことだ」
「町単独事業は、区長さんのところに申請して担当課へ申請して、それ以外は認められない。地域の順序を踏んで申請してくださいと言うのが第一。
私も地域住民からこういう要望がありますが、ルールを踏んでくださいと言っています。
つまり、地域の要望(道や水路などの新設や補修と言った小さな公共事業)を行政に伝えるのは、もはや議員の仕事ではなく、地域の自治会の役割になっている。
議員の口利きや斡旋(あっせん)、働きかけなどにより、事業着手の優先順位が変えられるのは不公正・不公平につながるからだ。
仮に議員の働きかけで事業着手に変動が生じたとしたら、そうした議員の活動は税金の使い方に歪みを生じさせることにほかならない。

p179
議員に求められる資質は4つ
1. 使命感
2. コミュニケーション能力(多様な意見が聞ける。反対意見の人と冷静に話し合える器。話上手よりも聞き上手)
3. まっとうな生活感覚と旺盛な知的好奇心
4. 一緒にいるだけで楽しくなるような人
地域はいろんな人たちで成り立っている。
議会も、多種多様な経歴、年齢、性別をもった人で構成されるべきだ

P197
議員報酬に成果主義導入
熊本県五木村の議会が成果主義を導入したことがある。
2010年4月から。
しかし、議長が評価委員長と水面下で交渉していたことが明らかになり、客観性に疑義があがり2012年にあえなく廃止。

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