H29.1.24 視察 長島愛生園(レポート公開)

岡山県の瀬戸内海の島・長島にある日本初のハンセン病患者を隔離する国立療養所の愛生園(あいせいえん)に行きました。

ハンセン病患者のためにつくした三宅町の屏風出身の忍性さんつながりもありました。
差別についても考えました。
人の歴史ということも考えました。
時代の流れに翻弄されることについても感じました。
愛生園のサイト

「まずは正しく知る」ということ
これはどんなことについても言えるはずです。
レポートはまたここに掲載します。下記が森内の視察レポートです。

平成29年1月 行政視察報告

森内哲也

1. 岡山県 長島愛生園(国立療養所)
2. 訪問日:平成29年1月24日
3. 内容::

視察目的は、「三宅町出身の鎌倉時代に活躍した忍性さんが、ハンセン病患者の施設を作ったりし、困窮者の救済に力を入れた」という歴史的事実があり、そのつながりからも「ハンセン病の事を学ぼう」というものであったと理解していた。
実際に、長島愛生園に行き、事務職員さんの話を聴き、そこで暮らす“かつての“ハンセン病患者さんたちの自治組織の会長さんのお話を聴いて、この長島愛生園がかかえているものの大きさに圧倒された。
ここで感じたことは非常たくさんある。簡単にどういうものか書き出してみる。
(イ) 「ハンセン病とは、どういったものか」と、そこにつきまとう「差別の歴史」
(ロ) 差別」とは? 我々人間の心に迫る人類普遍の課題
(ハ) 何もない島を開拓し歴史を作っていった開拓者・島の開拓という歴史

・ハンセン病とは?
細菌による感染病だが、感染力は極めて低い。
おもに低栄養状態で自己免疫が弱っている場合に感染する恐れがあるという。
現在は治療も確率されており、日本ではほぼ絶滅した病気。貧困地域(十分な栄養を取ることが困難な地域)の病気となっているという。世界の貧困に目を向ける契機にもなる。
昔の文献にも「癩」という言葉が散見され、資料館には忍性さんの名前も出ていた。
あの一休さんは、「仏罰が当たって親戚に『癩』が出た」と言っている文献が残っているようだ。


・なぜに差別の対象になったのか?
この病気は体の末端に発症するという。いわゆる服を着た時に覆われていない部分。つまり、顔、手、足だ。
そして症状は、感覚がなくなってゆくという。
顔で言えば目の視神経が弱くなり、見えなくなってゆく。(実際に長島の道路の分かれ道には、スピーカーが取り付けてあり、現在もここで暮らす「かつての患」者さんたちに分かれ道があることを教えている)
手足で言えば、皮膚感覚が弱くなり、「熱い・冷たい・痛いなど」の感覚が感じられなくなる。
「目が見えず、手足の皮膚感覚がなくなる」と、どうなるか。
熱いものを間違ってつかんでしまい火傷をおう。指先の冷たさがわからず凍傷になる。傷を負っても分からず化膿し腐食するまで気づかない。すべて服に覆われない外から見える部分にだ。
見える部分に「傷がある」この点が、ハンセン病患者への差別を強固にした一因であることは間違いない。
差別という心の動き。また我々はいかに視覚に頼って人を判断するのか、という課題にも目を向ける契機になる。
「細菌による感染病だが、感染力は極めて低く。自己免疫力を高めれば治る」この事実を知っていれば差別のレベルは低くなったのか? 我々の視覚に訴えかけるヒドさに人間の持つ良心が打ち勝てただろうか?
わからないが、私個人は正確な情報を得て視覚からの判断材料を超えてその人を判断したいと強く感じた。

もう一つ。
会長はこう話された
「初めに来た人々は病を持ちながらも、何もない島に家を作り、畑を作り、家畜を飼い・・・と環境を整えていった」
「ハンセン病患者を隔離した島」で、「ハンセン病と差別」という点に焦点を当てないわけにはいかないが、「開拓者・フロンティアたちによって作られた島」という焦点の当て方もある。
この島と資料館が持っている。「差別」という我々の心の闇を覗き見るテーマ以外にも、こういった視点から長島愛生園の歴史を振り返ることも意義のある事ではないかと感じた。


4.総評
かつては「癩病」と呼ばれた病気。
この表現に差別を感じる人が多く。歴史的文献以外では今は使われないらしい。
しかし、私にはその感覚がわからない。
私の感性が鈍いのか? 私の世代はその言葉の持つ重み・暗さからニュートラルでいられるのか?
よくわからないが「言葉自体に何も感じない」としたら、時間の経過がなしたことであり、その歴史を振り返るには、よいのかもしれない。
しかし、時間の経過とともに記憶から消えてゆくという事にあらがうべき事柄があり、長島愛生園の歴史はまさに残すべき事柄であろう。

参考動画:

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