H29.10.17-18 議員視察 長野県下條村

下條村の何がスゴイか。
いろいろと書くのは視察が終わってからのレポートでまとめます。
動画があったのでリンクしておきます。
ちょっと古く、動画の言いたいことは、「国からの補助金は地方に自由に使わせろ」という感じですが、下條村の紹介部分を参考にして下さい。
どうやって財政を確保したのか、という点がまず一番大事な点です。
やはり猛反発があった...



提出した研修報告

視察研修報告(森内哲也)
日時:2017年10月17~18日

1. 下條村役場(長野県下伊那郡下條村)

下條村(平成29年データ)
・人口:3836人(高齢化率 33.19%)
・面積:38.12km2
・保育園:1施設 7クラス110人 職員数13人(調理師2名含む)
・小学校:1施設 9クラス 230人 職員数27人(用務員1名含む)
・中学校:1施設 6クラス 141名 職員数24人(用務員1名含む)
・職員数:
-正規38名(うち育休2名、保育士7名、保健師2名、図書館司書1名含む)
-小・中学校講師3名
-嘱託職員22名
内訳:学校給食調理員3名、学校公仕2名(園児バス運手手兼)、司書補助1名、保育士4名、保育所調理員2名、社会教育指導員1名、福祉員2名、子育てコーディネーター1名、温泉管理2名、公園管理1名、道の駅管理1名、運転手1名、役場公仕1名)
人口千人当たりの職員数は、8.37人で、ずっと全国一位 全国平均18.14人
人件費率 13.3%(三宅町は平成28年度で26.2%)

地方自治のモデル自治体としてもともと有名。
注目点
1. 自主財源の獲得。(職員の意識改革と職員の不補充)
2.子育て施策(若者世代に村に来て欲しい)
3.住民を巻き込む資材支給事業。

今回の視察にあたっては、下條村のことが書かれている「奇跡の村」という本を読んで、予備知識を得ていた。そこに書かれている行政施策や前町長のことなどは、非常に興味深く思っていたが、その自治体の動きに関して、議会としての動き・働きかけ・役割がまったく見えなかったので、議員としての立場上その点を現地で聴きたいと一番思っていた。

個人的な一番の視察ポイント「下條村の行革における議会の果たした役割は?」

視察では、現在の副町長から説明をきき質問も投げかけたが、「よく分からなかった」というのが答えだ。
副町長は元職員ということで、改革のことはよく知っておられる。
行革の先頭に立っていた町長については「とにかく怖かった」とおっしゃっていた。
「伊藤前町長は、議員はほっておけ。住民だ」というようなことも言われていた、とも。
議会については、特に印象がないようだ。

「職員の意識改革と職員数の不補充による職員数低減」、「住民へ道路工事・水路工事をお願いする『資材供給事業』」など、大きな反対の声が湧き起こっておかしくない施策に対して、当時の首長・伊藤喜平さんの「足を引っ張らなかった」というのが、議会の一番の功績だったのかもしれない。
伊藤喜平前町長は、議員を3期つとめ、その後、村長になり4期務めた平成27年に退官された。
住民から大反発をくらいそうな「資材供給事業」に関しては、「首長は職員とあっちこっち回って自ら説明をしていた」という。

下條村は、主要産業もなく財政力指数は、0.232(平成27年)ちなみに、三宅町は0.29(平成27年)(参考:財政力指数:1に近いほど地方交付税に頼らずに財源に余裕のある)

やりたい事業があるが何をやるにもオカネが必要。
収入がない(財政力が少ない)なら、出ていくところを節約するしかない。
として、始まった職員数の意識改革。民間ではありえない仕事の仕方をしているとしてホームセンターへ実地研修に行かせたという。この10年はそういう研修は行っていないが、10年前までは民間企業への職員実地研修は行っていたという。
定年で減ってくる職員数に対し不補充を続けたところ、現在は先に挙げたとおりの職員数となっている。

前町長は「少数精鋭とよく言うが、小さい自治体は、少数にするから精鋭になるのだ」と言われていた。
説明下さった宮島副町長からは、
「職員が少なくなればなるほど、頑張っている職員とそうでない職員がはっきり見える」とも。
「少数精鋭でみんな頑張っているのですか」という我々サイドからの質問への答えだ。
「能力差を査定するような仕組みがあるのか」の問いには、「去年からそういう仕組みを取り入れるように指導があったが、賃金による査定は微々たるものである」とのこと。

視察数は、有名になりだしてから、我々、三宅町が540件目とのこと。
視察に来るのは、議員さんが多く行政からの視察は少ない。
そして実際に、下條村で学んだことを実践しているという所は、ほとんど聞こえてこないという。
しかし、初めに議会団が視察に来て、その後、首長と議長が「ぜひ我々の自治体職員を実習に来させてくれ」と頭を下げに来た自治体があるとのこと。
そして「そこの職員を交代で実習として受け入れた」とも話された。
それは福島県のI村だという。本気度のうかがえる感動的な話であった。
(調べてみると福島県のその村は人口:約6300人、職員数73人)

他にも、学んだことはたくさんあり、うちでも取り入れたい施策があるが、すべて「自主財源の確保(「入りを増やすか出を少なく。入りが増えないなら出を少なく」)という視点から始まっているように思われる。
論点がボケないように、職員さんたちからは反対があるだろうが、長期的な視野で考えておく必要のある「職員数」ことをふれるだけで筆をおくことにする。
(当初、住民と域内の地元業者から反対意見の噴出した『資材支給事業』も非常に興味深い)


2. 杉原千畝記念館

第二次世界大戦中、ホロコーストから逃れようとするユダヤ人を逃がすためにパスポートを、国からの命令に逆らってギリギリまで発行し続けた日本人・杉原千畝の記念館。

先の下條村の研修に引きつけて言う。
地方創生で成功している自治体の例のほぼすべてが、合併せずに独自路線を早くから選んでいる自治体であるという(三宅町は合併したかったができなかった)

国や、自分の上司からの指示を、時には逆らうことになるかもしれないが、自ら考え、行動を自らで決めた人物、自治体が、後世に認められたり、成功したりする、ということだ。
いろいろと言われるが、自らの信じるべき道をゆくべきである。
杉原千畝

3. リニア・鉄道館
リニアが奈良にも来るという。こんなものが来るのだ、ということを見てきた。
東京と名古屋の間はすでに工事が始まっている。下條村でもリニアの開通を待っており、村の動きも変化するだろうと言われていた。
まだ少し先だがそれに備えて財源も蓄えておられる。
なにか施策を打ってくるだろう。下條村の動きには目が離せない。

奈良にリニアが来るとどうなるのだろう?
本当にリニアが必要なのだろうか? という疑問の解決になったわけではない。
リニア

以上
報告者:森内哲也

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