平成10年4月 町村議会の活性化方策に関する報告書(議会改革(議会のあり方研究)の歴史1)

議会改革の話をすると、逆行することを言う議員さんがいます。
「やっているか、やっていないか」で、「議会改革度を測定できる項目」がいくつか明確に決まっていて、
「議会改革が必要だ」というなら、逆行することを言うことは「議会改革とは何かをわかっていない」あるいは「議会改革などするつもりはなく、都合の悪いことはしない」ということに過ぎなかったりします。

20年以上前から、議会の活性化については研究されており、その成果を記しておきます。
あらためて、読んでみると私も勘違いしている部分がいくつかありました。
20年前の指摘ですので、すでに法的に改正されている部分もあります。

「平成10年4月 町村議会の活性化方策に関する報告書」より抜粋

主的地方自治制度の根幹として位置付けられたわが国の地方議会に対して、特に最近厳しい批判の目が向けられるようになった。このため、地方議会改革即議員定数削減といった短絡した議論や地方議会無用論まで飛び出し、また実際に全国の実に95%以上の町村で議員の減数条例が制定されたのであった。(P4)

(p24よりP40までから抜粋)
4 町村議会の活性化方
1)地方議会の自主性強化
① 議員定数の自主選択
② 定例会の回数制限の撤廃
③ 臨時会の招集要件の緩和
④ 常任委員会の数、議員の委員への就任制限の撤廃

2)地方議会の議決権範囲の拡大
① 議決事項に基本構想と併せて基本計画を追加
② 議決事項への個別計画マスタープランの追加
③ 議決事項への重要な私法上の契約の追加
④ 公社等への議会の関与権付与

3)地方議会の議決権の強化
① 契約議決等の政令基準の廃止
② 予算の議決科目の「目」への拡大
③ 決算の重視と「不認定」の場合の事後指置
④ 予算・決算の審議方法の改善と予算・決算書の様式の改善
⑤ 専決処分の乱用防止
⑥ 議案・修正動議の提出要件の緩和

4)地方議員の政策立案・審議能力の向上
① 一般質問のあり方の改善
② 質疑・質問の回数制限等の緩和
(ア)一問一答方式の導入、議長の発言許可の弾力的運用
(イ)本会議での意見表明規制の撤廃
(ウ)議員同士の討議、首長と議員との自由な討議の保障
③ 議場の「型」の工夫
④ 議員研修の充実
⑤「議員派遣」の制度化
⑥ 議会事務局の充実強化

5)議長・監査委員・議員の性格等
① 議長の短期交替の是正
(議長は何よりも議事運営等に習熟し、正常な議会運営を確保し、さらに議会の活性化方策への取り組みにおいて成果を挙げるためには、正副議長の任期途中の交替制は極力是正すべきである。)
② 議員選出監査委員の議会選任への改正
③ 議員の性格等の課題
(現在の町村議員の報酬でさえ勤労者の立候補を跨躍させているのに、名誉職にされて報酬がさらに大幅に引き下げられたらますます遠ざけるだけで、地方分権推進委員会の見解は矛盾しているといわざるをえない。もっと現状に即した検討が加えられるべきである)

6)対住民関係の改善
① 議会の委員会の公開
② 傍聴規則の見直し
③ 休日・夜閣議会の開催
④ 有線放送等の活用
⑤ 議会報の充実・活用
ア)議会報の意義
イ)議会報の発行状況
ウ)議会報の編集(住民や学識経験者等にも編集に参画してもらえば、編集内容をめぐっての政治的対立を未然に防ぎ、内容をより親しみやすいものにする点で役に立っと思われる。)
エ)議会報の内容(必要に応じて年何回かの特集版を発行できるよう予算措置を講じ、全員協議会での率直なやりとり、各委員会の調査や行政視察の結果等の掲載も試みるべきである。)
⑥ 議会も対象にした情報公開条例の制定促進
⑦ 公聴会・参考人制度の積極的活用
⑧ 住民懇談会等の実施
⑧ 住民投票制度の位置付け
(反対派の住民の反発を恐れる住民代表の議員ではそれぞれが態度を決めかねるような場合、あるいは住民全体の意向と大きく食い違って重大な決定が下されるおそれがある場合等の異例の事態に限って用いられるものであり、とりわけ自治体の存在そのものにかかわる合併の是非等は、議会での十分な討議を経たうえで、さらに悔いを残さないために住民投票に諮り、その結果を議会での最終決定で参考にすべきである。討論抜きの住民投票で発議するのは、それこそ代表制民主主義を否定することになりかねない。)

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