なぜ障害者は65歳になると介護保険への移行を自治体から要請されるのか。
障害者総合支援法7条の規定があるためです。
厚生労働省はこの規定について、介護保険からのサービス給付を優先させる(介護保険優先原則)としています。
同時に自治体には、一律に介護保険サービスを優先させるのではなく、個々の状況に応じた支給決定を求めています。
岡山市の障害のある賛成が13年に起こした裁判で、1審二審とも男性が勝訴。同判決は自治体に裁量権があるとし、障害者福祉と介護保険の理念・内容・利用料などの違いを踏まえたうえで、市の対応を違憲としました。総合支援法7条についても、違う制度からのサービスの二重給付を避けるための規定だと指摘。男性は介護給付の申請をしていないので二重給付にはならないと判断しています。
国連・障碍者権利委員会は、昨年(2022年)日本政府の障害者施策について審査しました。日本が障害者を人権の主体としてとらえず、平等な市民として尊重しないまま法制定をしていると批判。
そのうえで、地域社会で障碍者が必要とするサービス、支援を提供するにあたり、自治体間格差をなくすために必要な立法・予算措置を講じるよう勧告しています。