日本の犯罪率が低い本当の理由は?

『驚きのアイデアで犯罪を「あきらめさせる」
世界の防犯―遺跡・デザイン・まちづくり』より

世界の防犯―遺跡・デザイン・まちづくり

日本の犯罪率が低い本当の理由は?

海外では当たり前のように実銭されている犯罪機会論が、日本ではほとんど知られていない。にもかかわらず、なぜ日本の方が犯罪率は低いのか。
犯罪機会論はチャンスを作らない、与えないという供給サイドだが、犯罪原因論はチャンスを求めない、手にしないという需要サイドである。
例えば、財布を置き忘れないのが犯罪機会論で、拾った財布を持ち去らないのが犯罪原因論だ。とすれば、日本の犯罪率が低いのは、犯罪機会論の弱さを補って余りあるだけの犯罪原因論の強さがあるから、ということになる。
確かに、日本では個人の自由よりも集団の秩序が重んじられ、ささいなルール違反という種が、犯罪という重大なルール違反に成長する前に、所属集団が束縛や干渉によってその芽を摘み取ってきた。
対照的に、西洋では自由が重んじられ、犯罪という自由の悪用も「自由のコスト」であり、刑罰で事後に返済させればいいとされてきた。
自由か規制かという意識の違いの一端は、日本では見慣れない光景(運転中や乗車中の態度)に垣間見られる(写真)。
逆に、世界中で日本だけに見られる光景が、車内での携帯電話の通話禁止である。
どうやら、犯罪率の低さと自由度の高さは、トレードオフ(二律背反)の関係にあるようだ。

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