研修 滋賀県大津市唐崎JIAMにて2

2コマ目
「インバウンド需要を活用した持続可能な観光地域づくり」
東京女子大学現代教養学部経済経営学科 教授 矢ケ崎 紀子 氏

東京女子大学現代教養学部経済経営学科 教授 矢ケ崎 紀子 氏
九州大学大学院法学府政治学専攻修士課程修了。住友銀行、日本総合研究所上席主任研究員を経て、観光庁設立に官民交流で参加(2008~2011年)。同参事官(観光経済担当)として、訪日外国人消費動向調査等の観光統計、観光白書、需要平準化等の国内観光振興を担当。首都大学東京都市環境学部特任准教授、東洋大学国際観光学部教授を経て、2019年4月から現職。 日本貨物鉄道社外取締役。東武鉄道社外取締役。東日本高速道路社外監査役。国土交通省交通政策審議会委員(2013~2023年)観光分科会長(2019~2023年)。国土交通省国土審議会特別委員。北海道観光審議会委員、長野県観光審議会委員、京都市観光振興審議会委員、高山市経済観光アドバイザーなど。観光庁「観光地域づくり法人の機能強化に関する有識者会議」座長、観光庁「観光 DX 推進のあり方に関する検討会」座長など。専門分野は観光政策。
主な著書として『インバウンド観光入門~世界が訪れたくなる日本をつくるための政策・ビジネス・地域の取組み』(晃洋書房)など。

「インバウンド需要を活用した持続可能な観光地域づくり」

インバウンドといえば相手は世界
持続的といえば、観光ではあまり言われてこなかった
観光といえば、これまでは地域の宝をちょいと、つまみ食いして使っていた(お金を稼いでいた)だけ(メンテナンㇲをしていなかった)
なので今回のお題はいろんな視点を含んでいると思っています。

我が国では「観光」という概念がブレていますが、世界的には定義されいます。
資料。ツーリズムと呼ぶことが多い。その中に観光も入っている。
ツーリズムなので「旅行」と呼ぶのがいいかもしれない。旅行と観光を一緒にして考えてしまったりします。

資料より
ツーリズムの定義(世界観光機構UNWTO)TOはツーリズムの略
「観光・レジャー・ビジネス、その他の目的で、連続して1年を超えない期間、通常の生活環境から離れた場所を旅したり、そこで滞在したりする人の活動」

観光は目的ではなくて手段である。(観光に来てもらって何をしたい?お金を落としてもらう等)

ちょっと前までは、我が地域に何人観光客来たという観光客数が目的 というような時代がありました。
でも、観光は、地域づくりの手段です。どんだけうまく使って、メリット それも デメリットを抑える形で メリットを得られるか。
この観光といっても いいことばっかりじゃない。
オーバーツーリズムの問題が言われたりします。

日本の旅行市場は、34兆円。うち日本人は、20兆円。8兆円がインバウンド。
2024年で、コロナ禍の前の状態にもどっています。戻っているのはお金ベースの話。
人数ベースはまだ戻っていない。
人数は戻っていないが、お金は戻っているということは、旅行の一人あたりの単価が植えているということ。
つまり、旅行できる人とできない人が2極化している(日本人の間において)そういうことが起こっている。
日本人の国内旅行経験率は、コロナ前に戻っていない。

日本人の旅行客の特徴
・休日型(平日に旅行にいかない)休日が多い。宿泊数は一泊が多く、二泊は若干のみ。
平日需要と滞在型がとても少ない。休日に一斉に出かける
海外の人はそういうことがない。

全世界のインバウンド市場
コロナ前は、14.6億人、今14.4億人まで回復
観光客で多いのはヨーロッパの人。じわじわとアジアの観光客が増えています。
彼らはどこへ行くのか。
2019年も2024年も行き先の順位はあまり変わっていない(中国とタイの2024年の結果は出ていない)
2019年の行き先の順位
一位:フランス
二位:スペイン
三位:アメリカ
四位:中国
五位:イタリア
六位:トルコ
七位:メキシコ
八位:タイ
九位:ドイツ
十位:イギリス
日本は12位くらい

しかし使ったお金の順位は変わります。
一位:アメリカ(圧倒的に一位で常に一位。ビジネスや留学など滞在型でアメリカに行くから)
二位:スペイン
三位:フランス
四位:タイ
五位:イギリス
六位:イギリス
七位:日本
八位:オーストラリア
九位:ドイツ
十位:マカオ(中国)

日本への外国人旅行者の推移
2000年あたりの日本に入ってくる外国人旅行者の数:まだ400万とか500万人ほど。2014、2015年から急激に増加。
000万人を超える前までは日本も訪問先として認知して、世界に知ってもらうという段階はもう超えた。
日本はいいところと知れ渡ったと思われるので、今度は、自分の地域に合うお客さんを呼ぶ(獲得する)段階。

観光地では、旅行客が一番多い月別は8月(日本人客の割合が多いから)
外国人(インバウンド)の場合は、ピークは7月(中国の大学受験が6月で終わって旅行する)と、4月(花見に来る)、10月(紅葉を見に来る)ほか、各国の祝日に合わせてくるので、ピークの時期が別れる。ラマダン開けとか。

日本に来る外国人で多いのは、韓国、中国、台湾、香港が四大。基本的には近くの国から来ると言うのが一般的。
次に、アメリカ、タイ
ターゲットの国を絞って来てもらう国を狙う時期に来ている。

外国人が日本に来るということは、日本にいながら輸出できる(外貨を獲得できる)ということ
輸出製品別での消費額との比較では、2024年に自動車に続いて、二番目となる。(資料より)
三番目は半導体。以降、鉄鋼、プラスティックと続く

インバウンドで来る人が多いのは、やはり三大都市圏だが、地方部も増えてきている。
金沢、高山など

ツーリズム振興 = 交流人口の増加
効果(目的)
1、地域経済の活性化
地域から持ち出すことのできない固有の資源に対して支払われることが多い:例:富士山、お寺、神社など)
お金が回りだすと地域内からの投資を呼び込む
2,雇用効果(多様な雇用機会。女性の活躍など)
3,他産業を元気にする(農林水産業:農産物の輸出が増える。あれを自分の国でも食べたい、伝統産業など)
4,観光消費、宿泊税などを活用して、地域の自然や文化財を保全
5,来訪者と地元住民の交流を通じて、住民の地域への誇りや愛着(シビックプライド)を醸成する。
→ こんなものが自分の地域にもあり人気があると知る。地元に残る・戻る。

このシビックプライドはあるかどうかで地域が生きているかどうかっていうのが決まる。
頂いたお金がどれだけ 地域の中で循環するかというところが とても大事。

(ターゲットにした)旅行客数 ✕ 一人あたりの消費額 ✕ 域内超対立 ✕ 重要標準化(年間を通じて来てくれるか)

こういった状況を実現するためには、地域はコストをかけないといけない。
コストというのは、おカネだけでなく時間と労力。

考えながらやっていく。
もし地域の外貨獲得方法が自動車産業ということであったら、地域でお金を回す方法は、大きな企業から下請けにという上流と下流という流れしかないように思うが、地域の観光ということであれば、横に広げることができる。
例えば、宿泊施設から、地域の食材、庭の手入れ、建物の整備、人材の雇用、地元出身の芸術家の作品を飾るなど
域内に消費を循環させることができる(ハブ&スピーク型)

テーマを中核としたバリューチェーンを地域自らが構築(例:熊野古道のDMO)
高付加価値旅行(富裕層を狙う)、アドベンチャートラベル

JNTO(日本政府観光局):インバウンドを扱う政府機関
https://www.jnto.go.jp/

田辺市熊野ツーリズムビューロの立ち上げ
観光地域づくり法人(DMO:Destination Manegement organization)

さらに先の観光地域づくりへ
熊野古道だけでなく市街地にて宿泊してもらう
熊野古道沿いの空き家対策:まちづくり会社を活用した不動産業へ
安定需要が見込めるターゲットの開発(国内の他のところへ学ぶ:釜石)

ガイドブックは、日本の写真がたくさんあるものと違って、文字がほとんど、どういう文化を持っているのか地域を知る内容のガイドブックへ(インバウンド用に)
やってはいけないこと。蜂対策、歩くときの装備や服装なども記載。

観光は、地域づくりのための手段(ツール)
「観光地域づくり法人の登録制度に関するガイドライン」(令和7年3月25日)
ポイントは、しっかりと戦略を作ること

観光地域づくり法人(DMO)
三重県、大分県など。岐阜県高山市、愛媛県大洲市。

オーバーツーリズムとは?
誰にとってのオーバー?
ツーリズムには多くのステークホルダ(利害関係者)がいる。それぞれにとってオーバーと感じる観光客の数が違っていたりする。
対策:発生すれば対処療法しかない。未然に防ぐことが重要。
・迷惑行為の明確化
・棲み分け・ゾーニング(観光客と住民)
・人数制限(有料化、予約制、上限をもうける)
・分散化(地域、時間、曜日、季節)

まとめ
地域がつちかってきた歴史・文化、自然、景観などを使っておカネを得る。
旅行者(日本人と外国人)から
そのために、関係団体、事業者、行政、住民が協力(意見調整)しないといけない。
DMOがまとめ役になれるとよい

活用、活性化するために保全・維持・継承も大事
担い手の確保、メンテナンスコストの確保、地域資源への負荷の管理

旅行商品化、サービス化
受け入れ環境整備
域内事業者の連携
成長速度の管理・住民理解

観光消費拡大
地域経済活性化
雇用機会
地域への投資促進
シビックプライド醸成

難しいがやりがいがあるはず。

ーー
質問
埼玉県の川越市は、国から補助金をもらっています。
協会とまちづくり会社があってどちらが主導権を取るのがよいのか? 
また、法定外税として、駐車場税を取ろうとしたが、議案が通らず新しい税の導入に至っていない、そのことにてついて。

>>
初期のDMOは調査だけすればよいと思われていたがそうではない。
川越市さんは歴史上たくさんの船頭がいることはしかたがない。しかし、DMOは、今ある組織同士を、調整して物事を動かすというところまでやらなければいけない。力を持ってるところが中心になるべき。しかしなかなか難しいと思われるので、適切に行政や議会が関与して、まずはここにやってもらおうとか決めてゆくのがよいかも。
駐車場税を導入するにしても、難しいと思う。
まず宿泊税を導入したところで、次に起こってくるのは、日帰り客からは税を取らないのかという議論も出てくる。
おカネをいただくにしても順番があると思う。

質問
富士宮市
東海自然歩道について
地域交通について、観光客だけでなく地域住民のニーズもあるがどうするのか

旅行者のイベントではなくて住民の方々とうまく乗りやすいことができれば本当にいい。
旅行客のニーズは把握しやすいが、地域住民のニーズは把握しにくいので見逃さないように。
どの人たちと話して、ニーズを満たしてゆくのかが大事。

東海自然歩道については、熊野古道や四国のお遍路さんもかなり外国人が歩いてます。そういったところが先行して行って その成功も失敗点も見ながら2番手、3番手として追いかけてゆき、学ぶというポジションがよいのでは。

コメントを残す