2024.02.05 オンライン研修 議員の学校

議員の学校 第51回 よくわかる自治体財政の基本とその課題~2024年度国の予算・地方財政計画の動向と自治体予算審議のポイント~
2/5(月)6(火) 於:都立多摩図書館セミナールーム
自治体の政策や予算には、一意的な「正答」は存在しません。だからこそ、自治体は多くの人々の思いを「大切な価値」とともに体現した予算をつくらねばなりません。議員としての最大の武器、生きた知識と論理の組み方を身につけましょう!

◇集中講義1
「予算審議のツボ①―自治体財政の基本を叩き込む―」
森裕之氏(立命館大学教授)

自治体財政は「予算至上主義」ともいわれるように、毎年度の予算審議こそが議会活動の最も重要なテーマです。この予算審議の前提となるのは、自治体財政の基本を正しく理解していることです。
この基本は非常に単純な原則で誰でも理解できるものですが、それをきちんと身につけることなく予算や決算の審議にのぞんでしまっていないでしょうか。また、自分は理解していると思い込んでいる場合もあるのではないでしょうか。こうした場合、議員活動で最も大切な予算審議においても、結局は表面的な財政情報に振り回されるだけで終わってしまうことになってしまいます。
集中講義1では、自治体財政の基本を徹底的に身につけてもらいます。これさえマスターすれば、予算の中身の根幹が簡単にわかります。これは議員としての最大の武器となって、皆さんの活動を支える原動力となります。
自治体財政の知識を確固としたものにするには反復が非常に大切です。新人の方はもちろんのこと、リピーターの方もぜひ受講していただければと願います。

【2コマ目以降】
◇集中講義2
「予算審議のツボ②―2024年度の地方財政計画と自治体予算」
森裕之氏(立命館大学教授)

日本の財政は国が根幹部分を掌握しているため、自治体は国の予算の一部として決定される地方財政計画に基づく財源の配分を受け、それに独自財源である地方税等を合わせて予算を決定しています。そのため、予算審議をきちんと行うためには、地方財政計画で示される重点政策等の予算措置を正確に理解しておく必要があります。その際に必要となるのが、集中講義1での自治体財政の基本です。
集中講義2では、集中講義1でマスターする自治体財政の基本をさらに具体的な予算審議で活用できるための知識を学ぶとともに、それを2024年度の地方財政計画との関係で具体的にみていきます。これによって、自治体財政の基本が現実の予算を通じて生きた知識となり、それを予算審議で応用していける力を身につけてもらいます。

◇実践報告と提言
「議員活動を振り返りながら―2期目の挑戦」
伊藤英人氏(東京都奥多摩町議会議員)

◇グループワーク

5~6人の少人数(グループ)に分かれ、初日の講義と実践報告の学びを振り返りながら、各自の課題などを交流。議員の仕事の意義をより深められる自己紹介・表現の時間です。

◇集中講義3
「予算審議のツボ③―予算審議のポイントと今後の自治体財政」
森裕之氏(立命館大学教授)

2024年度の予算審議のポイントについて、さまざまな視点を交えながら講義していきます。自治体の政策や予算には一意的な「正答」は存在しません。だからこそ、自治体は多くの人々の思いを「大切な価値」とともに体現した予算をつくらなければなりません。そうした「大切な価値」は議員同士の間でも異なるものであり、住民の思いを背負う議員はそれを予算審議の場において説得的に行政に意見していくことが求められています。
財政はこのような多様な「大切な価値」を実現させていくための手段です。逆にいえば、この手段の知識と論理を欠いた予算審議は説得力がなく、言葉だけの陳情要求にもなりかねません。集中講義3では、どのような「大切な価値」であっても、それを効果的に主張していくための財政の論理の組み方をわかりやすくお話しします。
また、予算は一年間だけのものであることから、自治体は中長期的な見通しも持ちながら予算をつくらなければなりません。議会の予算審議においてもこの点は重要です。そのため、集中講義3の後半では今後の自治体財政がどのようになっていくかを考慮しながら、2024年度の予算審議で留意すべき点について検討していきます。

◇シリーズ講義〔1〕
「社会保障関係予算の動向と自治体の福祉施策」
石川満氏(「議員の学校」学校長、多摩住民自治研究所理事)

2024年度の国の社会保障関係予算は引き続き給付費の抑制が進められています。
子ども未来戦略では、児童手当の拡充等が実施されますが、その具体的な財源確保策は必ずしも明確ではありません。医療保険関係では、診療報酬本体はマイナス改定となりそうです。またこれまで以上にマイナ保険証の利用促進も進められます。介護保険制度では、一定所得以上の2割負担利用者が大幅に増え、老人保健施設等の室料負担も求められます。
そのほかにも、自治体の福祉施策に影響することが少なくありません。これらについて議会でどのように住民の暮らしを守るための議論を進めるか、考えます。

次年度の予算について
森裕之(立命館大学)

議会(議員)の役割は予算を配分すること
オカネの話のメインは予算。
家の家計と同じ。言葉が違うだけ。

細かい知識はどうでもいい。大事なのは基本の基本

予算と決算。大事なのは予算。配分
決算は、配分をうまくやったかどうかのチェック。
予算をつけたのになぜ使ってないの?
会社は決算が大事。いいことをやると決めても大赤字だと失敗。

うちの町について何が大事なのか。
突き詰めると、赤字になってはダメというのが、自治体の財政の唯一のルール。

予算を統制するのは議会だけ。
予算の時に事業の成果を聴くのは大事。
成果がないのになぜまた予算をつけてるの?

赤字の予算は組めない。
赤字にはならない。(決めてる通りに使ったら赤字にならない。なりそうなら補正予算)

何に使おうが、他の自治体がとやかく言うことではない。
教育費が増える。ローンが大きい。など家々の違い。優先順位の違い。
自治体の品格の問題。
財政の観点からは、こうあるべきなど言えない。
多数派だから財政を自由につかってもいいと言う話ではない。
話し合いのメンバーというだけ

家計で言うと、自治体は消費者ローンは借りれない。
収入が足りないからお金を貸してくれはダメ。出来ない(自治体)
これが前提。

企業で言うと作ったものを売って収入が入ってくる。
が、自治体は・・・
・入ってくるお金と出てゆくオカネが合わない。
入ってくるお金が、多いと貯金(基金)か、繰り越して次の年度に贅沢するか(繰越)
・収入が少ないと、貯金を取り崩すしかない。(ローンを借りるのは自治体はダメ)

自治体は、貯金を取り崩していくらかを見る。

家計(家、企業)と違うのは、何もやらなくても税金が入ってくる。
経験済み。
コロナ下に経験した。なにもしなかったら財政がよくなった。

財政危機(財政破綻)とは、毎月(毎年)の支出が収入を超えていたら・・・
貯金を取り崩すしかない。これが財政破綻(森先生の定義だが、これが真実)
貯金(基金)を取り崩さざるをえないのが、財政危機。

決算は、かならず黒字。
しかし、基金の取り崩しが継続していると、財政危機
とはいえ、黒字がずっと続いているのもだめ。
住民に還元せよ(福祉の増大が目的。利益の追求が目的ではない)

家計では、一年の支出収入とか言わないが、自治体は一年で見る。
基金を取り崩さない黒字がずっと続いているなら、貯金(基金)が、歳出を増やす。

自治体は、収入を増やすのは難しい。
支出を減らす。削除する時の優先順位は難しい。話し合い

基金(貯金)の種類は三つ
1.財政調整基金(普通預金)
※いつ取り崩していくら使っても良い
2.減債基金
(一部損壊とかは国から補助金は出ない。全倒壊なら国から出るかも。非常事態の時は貯金からしか出ない。除雪とかはお金がかかる)
3.特定目的基金
※特定目的ならなんでもよい。ふるさと納税は基金に積んでいるはず(入って来てすぐ使うのは計画がない)
使う目的が決まっている。逆に言えばそれ以外に使えない。条例で決められている目的にしか使えない。
条例を変えれば、なんでも使えるぞ(条例は議員が決めていますよ)
コロナの時にあった。基金があり住民が困っているときに使いたいが、特定基金だった。財政基金い入れ替えた。

資料P12、P13「堺市の財政状況」より
堺市。基金の取り崩しが続くので、財政危機を出した。

ここから財政らしい話になります
では、収入をみる。
歳入項目は家計収入に置き換えて理解する

自治体の収入の姿(平均)この四つを覚える。
これがメイン。大事な4つ
1.地方税
2.地方交付税
3.国庫支出金(主な特定財源)
4.地方債

大事なのは、
自前で手に入れるオカネ(1と4:地方税と地方債)
と他は、国からの仕送り(2,3:地方交付金と国庫支出金)

資料P17
家計で理解(子育ての現役世帯とすると・・・)
息子夫婦世帯(自治体)
夫の祖父母が生きている(国)

一番大事なのは、支出(自治体の標準的支出)
食費、光熱費、教育費、通信費、保険料、電化製品購入費、雑費など
+
収入(収入が標準的支出より低ければ・・・)
支出を減らすが収入を上げる。標準より支出を減らすと貧困になるが、自治体は出来ない(平等、)
給料(地方税)+仕送り(地方交付税)

税金を取るルールは国が決める。線路や道路は国が決めている。
から、国からの仕送りが必要。← 地方交付税

※自治体の標準的支出
人口で決まる。

国からの仕送り(地方交付税)を、もらった後の使い方は、自治体の自由(赤字なら自分で何とかしろ。黒字なら貯めるなど、なんでも自由)

大事なのは、白い部分(自治体の標準支出)= 一般財源
地方税(給与)と地方交付税(知送り)が大事。
※一般財源の措置が国からされているのかが大事。

地方税が少なくても、交付税で埋めてくれるので心配いらない。

【なぜ一般財源が重要なのか】
自治体がやりたい施策を実行できる
一般財源が少なければ、特定財源(国庫支出金、地方債等)が入ってこない
自治体の財政指標のすべてが一般財源との関係で判断される
ex.経常収支比率、健全化判断比率(実質赤字比率、連結実質赤字比率、実質公債費比率、将来負担比率)など

歳入;一般財源と特定財源で、特定財源の規模は、一般財源の大きさで決まる。

借金の指標(大きさ):一般財源の規模で決まる

地方税:固定税が大きい
議会で出来ること
税率を引き上げることが出来る。法律にない税金(法定外税)を取ることが出来る。
法定外税:例:宿泊税、

基準財政需要額 = ペットボトル(資料P30)のお茶の総量
それ以外に、留保財源があって、それが別に飲めるお茶

留保財源が多ければ多いほど、自治体の独自サービスができる
資料P32 赤い所がお茶
留保財源:税収の25%(税収が増えれば、留保財源が増える)
100億円増えたら25億円増える
資料より(留保財源のわかりやすい説明)
※税収を増やすのは大事。

補助金は国から率でくれる。
地方債(借金):一般財源は頭金(一部)
地方債充当率と交付税措置率の関係

—-
質問
地方交付税がもらえない不交付団体については?
全部自分のところの地方税(お茶でまかなえる)
税金をもらっていない団体(不交付団体)は、まるまる増える


ふるさと納税について
>財政学者で良いという人は一人もいない。個人が勝手に税金の使い方を決めている。税金の決め方を審査できるのは本来議員のみ。
納税者の意識を著しく劣化する。本来は地方交付税でやらないといけない措置(都会から田舎へ配分するのは地方交付税)
早く安楽死を図る制度(政府変えたいと言う意図がある。自治体にとっては損)

国は減税措置については、
>岸田首相:所得税4万円削減(住民税と所得税)所得税が減った分は、国から特例交付税(その年だけ)として配布される。
固定資産税を下げると言うのは不公平なのでないと思われる。自治体としてはあるが国としてはないはず。

消費税について
>国全体の話。こんなに苦しいのであり得ないと思う。
消費税の中に国の消費税と地方の消費税が入っている。
国の消費税が増えると、地方交付税が増える。

赤字になってはだめ。単年度主義
債務負担行為についての考え方。
建物の更新費用の赤字居ついて
>債務負担行為は、地方債と同じ(収入でも支出でもない)
自分のもともとの支出は増えない。単年度で言うと関係ない。
赤字黒字とは関係ない

財政調整基金について
不測の事態に備える
国からの補助があると思うが、
>私有財産の形成だからダメというのは自治体の判断。やってあげたいというのも自治体の判断。みんな引っ越しすると住民がいなくなる、という判断。そこは自治体の判断。程度問題だと思う。
国は激甚災害で国が補助の範囲は決める。

支出が足りなくなると貧困という話があったが、
事務事業を減らす必要がない
>先ほどの話の貧困というのは例え。標準的な自治体が出来ることが出来なくなると言う意味。

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