『議員必携』より

議員必携
「議員必携」は、議員になってすぐにもらいました。
はしがきにこうあります。
「選ばれて議員となり、住みよい町や村をつくる熱意に燃えながらも、会議の進め方や、議会運営の手続き、あるいは予算書の意味方や眼のつけどころなどが分からないために、せっかくの見識や抱負がその議会活動の上に生かされないようなことがあっては、住民の期待にそうことができません・・・」
自称にはなりますが、議員たるものこれを読んどけ! という書物ということです。
ですので、これはという箇所をみつければ初心忘るべからずで記しておきます。

  1. 予算の補正 p239

    予算の補正をめぐって留意すべき事項をあげると、まず補正の回数である。法令上に制限はない、しかしみだりに補正を重ねると、年間予算としての当初予算の意義がなくなり、また財政運営上の一貫性が失われることになるので、必要最小限度にとどめるべきことは言うまでもない。

    と。そして、

    「年間7~8回あるいはそれ以上にわたって・・・」

    と、7,8回で多いとあります。
    我が町・三宅の平成26年度一般会計にについては、13回補正予算が出されているという現実。
    なにか、普通ではないことが起っているようです。

    新人議員の私には、どこに問題があって、どうしてよいのかわからないというのが正直なところ。。。
    すぐに近い所で普通でないことが起っているのに、どうしてよいのかわからないというのは不安です。ザワザワします。悪い事ではないと良いのですが。
    みなさん知恵をお貸しください。自分でも勉強します。


    追記(2016-03-30)議員なりたての頃です。こんなことを書いていました。
    三宅町で補正予算が多いのは、どんなに小さな金額でも、項目の組み換えせずにおカネを処理しているからのようです。
    チェックする側からすると、分かりやすいという側面と、こんな少額でイチイチ補正予算とするか!と一長一短です。
    事務側からすると余分な仕事が増えているのかもしれません。

  2. 関連質問 P153

    通告しないで通告者の質問に関連して求める関連質問は、通告者の立場からみても議会運営の能率からみてもよくないので、原則として許されないものである

    追記(2016-03-30)
    これは許して欲しいと感じます。というのは他の議員の一般質問を聞いていて、「あっそれなら、あればどうなってるんだ?」と聞きたくなることがしょっちゅうあります。
    一般質問をしていて感じるのは、質問している本人は余裕がありません。
    一生懸命に質問の回答を聞いて理解し、再質問をしようと思っているので、別の視点で考えるというような余裕がないと思います。
    (少なくとも私にはありません)
    他の自治体の議会では、関連質問を許している所がやはりあるようです。
    ただ議論の深まらない話を他からやられても困るかもしれません。
    議論が深まり、住民さんの理解や視点が広がるのであれば、関連質問も認めるべきかもしれません。
    そして、大事な視点は、コメント冒頭に「これは許して欲しいと感じます」と書きましたがこの感じ方が間違っています。
    議会でのルールを作るのは議会自らなので、議会内で話し合ってこれが出来るようにルールづくり出来る権限もあるということです。
    ようするに、関連質問出来るように許すのは議会自身。
    議会改革の視点の一つとして加えてもよいということです。

  3. 議会の地位 P9

    議会は、住民を代表する公選の議員をもって構成される地方公共団体の意思決定機関である。
    日本国憲法は、第93条で「地方公共団体には、法律の定めるところにより、その議事機関として議会を設置する」と定め、地方議会の設置根拠が憲法で保障されている。
     ここで「議事機関」とし、国会のように「立法機倒」としなかったのは、議会は条例の制定、改廃にとどまらず、ひろく行財政全般にわたる具体的事務の処理についても、意思決定機関としての権能を持つからである。
    このことから明らかなように、地方公共団体の長は、議会の議決を経た上で諸々の事務を執行することとされ、独断専行を許さない建前がとられている。
     それは、同時に議会の地位の重要性を示すものであり、議会がいかに住民の福祉を考え、住民の立場に立って判断しなければならないかを教えているといえる。
     しかし、長、議会ともに住民の直接公選による機関であり、互いに独立し、その権限を侵さず、侵されず、対等の立場と地位にあるということを十分理解しなければならない。

    町長および議会は、ともに住民の選挙で選ばれているので対等です。
    町長が議会に向かって指示するなどありえません。
    町長から議会へのお願いなら可能ですが、町長の御用聞きみたいなことでは、非常に恥ずかしいということです。
    町長からのお願いが、町民の為になるということでは大いに議論して聞き入れるべきだとは思います。

  4. 議長の権限 P25

    議長は、議会の代表者及び事務統理者としての立場と、会議の主宰者としての立場があり、権限もこの二つの立場に分けて考えることができる。
    (1)会議主宰権に属するもの
    ①議場の秩序保持権
    議場を混乱させることなく、議事を円滑に運営するよう配慮することが議長の職資である。このため、秩序を保持する上に必要な鋪置をとる権限が与えられている。もしも、秩序を乱す議員があるときは、これを制止し、又は発言を取り消させ、その命令に従わないときはその日の会識が終わるまで発言を終止し、又は議場外に退去させることができる〈法129I)。
    また、議場が騒然として整理することが困難であると認めるときは、その日の会議を閉じ、又は中止することができる(法129Ⅱ)。
    また、会議の傍聴に闘しては、議長は傍聴規則を定め往ければならない(法130Ⅲ)

    ②議事整理券
    議会の招集は町村長の権限であるが、招集後の議会の運営は、すべて議長が主宰する。このため、議事を進めるために必要な措慣をとる権限を議長に与えている。その主なものは、次のとおりである。
    ア、議会の開閉並びに開議、散会、延会、中止及び休憩の宣告
    イ、議員の出席催告
    ウ、議席の指定及び変更
    エ、会議時間の変更、延会
    オ、動議が競合したときの表決順序の決定
    カ、議事日程の作成、変更、迫加
    キ、秘密会の発議
    ク、発言の許可及び発常時間の制限
    ケ、登壇の許可

    ③議会の事務の統理権権
    議長は、事務局長及び事務局職員を指揮監督して議会事務を統轄処理する権限を持っている(法104)したがって、当然、事務局職員の任免権も議長が有する(法138V)。
    ④裁決縦
    過半数表決において、可否同数となった場合に、その可否を決定する権限である(法126)。

    (2)議会の代表(統理)権に属するもの
    ①代表権
     対外的には、議長は代表権を有する。したがって国会又は関係行政庁への意見書提出、町村長への報告、公聴会の公示、参考人への出席要求、100条調査権における闘係人の出頭要求、長及び委員長等に対する出席要求、その他対外的に意志表示をする公文書は、議会の代表者たる議長名において発することとなり、それによって法的効果を生ずることとなる(法104)。
    ②臨時会招集請求権
     平成18年の法改正により、議長は、議会の意思として臨時会の招集を求める必要がある場合は、議会運営委員会の議決を経て、議会の招集権をもつ町(村)長に対し、会議に付議すべき事件を示して、臨時会の招集を請求することができる(法101Ⅱ)町(村)長は、請求のあった日から20日以内に、臨時会を招集しな付ればならない(法101Ⅳ)。
    ③委員会への出席発言権
     議員は少なくとも一の常任委員になるものと定められているが、議長は、その職責上、どの委員会にも出席して発言できる(法105)。この委員会での議長の発言については別段の制限は加えられていないので、単に議長の事務統理権、あるいは議事整理権に基づく発言に限るものではなく、議案の内容についての質疑や意見を述べることも差し支えないとの見解(昭27・6・21行実)もあるが、あくまでも「議長」としては、個々具体の政策判断までは論及すべきではなく、委員会運営の基本的あり方に限定しての大所高所からの指導的立場の発言にとどめることが望ましい。

  5. 専決処分 P326

    町村長と議会の関係を調整する手段の一つとして、町村長の専決処分がある。「専決処分」とは、議会の権限に属する事項について、町村長が議会に代わって意思決定を行うことである。
    専決処分をすれば、議会が議決したのと全く同じ法律効力を発生する。
    したがって、議会としては、その慎重な運用を真剣に見守らねばならない。

    この専決処分には、二つの場合があり、一つは地方自治法の規定によるもの。他の一つは議会の委任によるものである。

    1.専決処分できる場合
    法第179条の規定によるもので、次の4つの場合に許される。
    (1)議会が成立しないとき
     議会が解散したり、議員が総辞職して議会が全く存在しない場合や、定数の半数を超える欠員がある場合等、議会が適法に活動できる半数以上の議員が存在しない場合である。
    (2)法第113三条ただし書きの場合において、なお会議を開くことができないとき
    (3)町村長が、議会の議決すべき事件について特に緊急を要するため議会を招集する時間的余裕がないことが明らかであると認めるとき
    この要件は、当該事件が緊急を要し、議会を招集してその議決を経ている間にその時期を失するような場合を規定しているものである。
    (4)議会が議決すべき事件を議決しないとき
     議会の議決を要する事件について、議決を得られない一切の場合であって、議会が故意に議決を引き延ばすなどして積極的に議決しない場合だけに限らず、天災地変その他何らかの事由で議決が得られない場合等も含まれる。


    2、議会への報告と承認
    町村長専決処分をした場合は、次の会議において報告をし、承認を求めなければならない(法179Ⅲ)

    次の議会とは、専決処分をした後、招集される議会の最初の本会議をいい、臨時会も合めるものとされている。
    この承認は、町村長が、議会に代わって行った意思決定の責任を解除する重要な意義を持つものである。
    したがって、議会は、承認を求められたら慎重な検討を加えた上で、承認・不承認を決めるべきである。
     もし、招集する時間的余裕があったと思われるのに、町村長が主観的に時間的余裕がないとして専決処分をしたというようなことがあれば、議会としては、毅然たる態度で不承認として、町村長に反省を与え、今後を戒めるべきである。
     なお、併せて専決処分そのものの内容についても十分検討することが必要である。


    3.不承認となった場合の効力
     議会が、不承認とした専決処分の効力については、これまでは専決処分によって、一度、法律効果が発生しており無効となるものではなかった。
    すなわち、不承認になっても、専決処分の効力そのものには影響はない(昭26.8.15行実)とされ、その理由として、処分によって受けた住民の利益を害し、行政そのものの安定性が損なわれることになり、結果的に専決処分を認めた意義がなくなるおそれがあるからであった。
     しかしながら、議会が承認しない専決処分をあえて行ったという意味での町村長の政治的・道義的責任は当然残るわけであると考えられるし、その責任をどのような形でどこまで追及するかは、議会自体、ひいては住民自身が、具体の事件ごとに判断することになる。
     こうした観点から、平成24年の法改正において、条例の制定改廃、予算に関する専決処分が不承認となった場介、条例、予算に係る議会の意思決定の重要性を考慮して、長は速やかに必要と認める措置を講じ、その旨を議会に報告しなければならないこととされた(法179の4)。
    「必要と認める措置」とは、条例の一部改正案や補正予算の提出など、特定の措置に限定しているものではなく、長が適切に判断するものであり、長が議会や住民に対して専決処分の考え方について説明責任を果たす観点から必要な対応を行うことも含まれるものである。

    ・専決処分は議会の権限を町長が使う事で、安易に専決処分を認めると議会不要論につながることになります。
    ・今、三宅町議会で出される専決処分の理由は、(3)町長が、議会の議決すべき事件について特に緊急を要するため議会を招集する時間的余裕がないことが明らかであると認めるとき以外はありません。
    ・定例会議以外の時期の議会に諮るべき案件に関して「全部、臨時議会を開くか、専決を認めるか」という乱暴な議論がありました。(H27.6月議会(H28.3月委員会)
    ここ(議員必携)では、専決処分の内容も吟味すべきだが、
     もし、招集する時間的余裕があったと思われるのに、町村長が主観的に時間的余裕がないとして専決処分をしたというようなことがあれば、議会としては、毅然たる態度で不承認として、町村長に反省を与え、今後を戒めるべきである。としている。
    議会としてすべきことが、主観的な(客観的でない)判断で、侵害されているなら、断固反対せよ。ということのようだ。

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